2010 Fiscal Year Annual Research Report
試験管内再構築系をベースとした細胞内異常タンパク質認識機構の解明
Project/Area Number |
09J05724
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
及川 大輔 独立行政法人理化学研究所, 中野生体膜研究室, 特別研究員(PD)
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Keywords | 小胞体ストレス / IRE1 / 異常タンパク質感知 |
Research Abstract |
細胞内において分泌タンパク質や膜タンパク質の合成を担う小胞体は、「小胞体ストレス応答」と呼ばれる、異常タンパク質に対する優れた防御機構を備えている。その機構において起点となるのが、センサー分子による異常タンパク質の感知である。これまでの研究から、IRE1と呼ばれる小胞体膜タンパク質が異常タンパク質センサーとして機能することが分かっているが、そのメカニズムの詳細については、未だ未知な部分が数多く残っている。 哺乳動物においては、2つのIRE1パラログ、IRE1αとIRE1βが存在する。以前我々は、哺乳動物IRE1αは異常タンパク質とは直接結合せず、その異常タンパク質感知はBiPの解離に伴うホモ会合の段階に強く依存することを明らかにしていたが、同様のメカニズムがIRE1βにも当てはまるかどうかは不明であった。 今年度、我々はIRE1の分子動態を明らかにするために、living cellにおけるFCS (fluorescence correlation spectroscopy)解析を進めた。結果、IRE1β-GFPは、IRE1α-GFPと比べて、ストレス依存的により安定で巨大な複合体を形成することが分かった。これと一致して、蛍光観察においても、IRE1β-GFPはよりはっきりとしたドットを形成した。加えて、IRE1βのluminal domainはin vitroでanti-aggregation活性を示すこと、また、細胞においてモデル異常タンパク質と共沈してくることが分かった。これらの結果は、IRE1βはIRE1αとは異なり、直接相互結合することで異常タンパク質を感知することを意味しており、現在これらの結果をまとめて論文を投稿中である。
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Research Products
(10 results)