2011 Fiscal Year Annual Research Report
試験管内再構築系をベースとした細胞内異常タンパク質認識機構の解明
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09J05724
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
及川 大輔 群馬大学, 先端科学研究指導者育成ユニット, 特別研究員(PD)
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Keywords | 小胞体ストレス / IRE1 / 異常タンパク質感知 |
Research Abstract |
細胞内において分泌タンパク質や膜タンパク質の合成を担う小胞体は、「小胞体ストレス応答」と呼ばれる、異常タンパク質に対する優れた防御機構を備えている。その機構において起点となるのが、センサー分子による異常タンパク質の感知である。これまでの研究から、IRE1と呼ばれる小胞体膜タンパク質が異常タンパク質センサーとして機能することが分かっているが、そのメカニズムの詳細については、未だ未知な部分が数多く残っている。 哺乳動物においては、2つのIRE1パラログ、IRE1 αとIRE1 βが存在する。以前我々は、哺乳動物IRE1 αは異常タンパク質とは直接結合せず、その異常タンパク質感知はBipの解離に伴うホモ会合の段階に強く依存することを明らかにしていたが、同様のメカニズムがIRE1 βにも当てはまるかどうかは不明であった。 昨年度我々は、IRB1のGFP融合体をFCS(fluorescence correlation spectroscopy)や共焦点顕微鏡を用いて解析し、さらには、組み換えタシパク質を用いた試験管内実験を行っていた。結果、IRE1 βはIRE1 αとは異なり、直接相互結合することで異常タンパク質を感知する可能性を見出していた。 本年度は、このIRE1 βと異常タンパク質との直接結合とが、どのような分子機構によるかを明らかにすべく研究を進めてきた。結果、IRE1 β上の天然変性領域が、異常タンパク質を直接認識し相互作用する重要な機能を担う可能性を見出した。さらに、IRE1のGFP融合体を用いたliving cellを用いた拡散係数の解析(FRAP解析)から、IRE1は小胞体ストレス時に従来の想像とは異なる特殊な挙動を示すことが明らかになった。これらの結果は、異常タンパク質感知の研究領域に「天然変性」という新たな概念を提唱し、さらに拡散挙動の変化を伴った特殊な分子機構を示す、非常にインパクトの高い内容である。今後、本内容の学際的な発表に向けて詳細な解析が必要である。
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Research Products
(15 results)