2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05740
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 寛英 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 開口分泌 / シナプトタグミン / t-SNAREs / 認識イメージング |
Research Abstract |
初年度に引き続き、神経細胞における開口分泌の引き金と考えられているタンパク質、シナプトタグミンと再構成膜間の結合力を原子間力顕微鏡の1分子力学測定によって測定した。結果として、シナプトタグミンがカルシウム存在下で再構成膜と強固に結合すること、また、カルシウム非存在下においても、再構成膜と結合することが示唆された。これらの結果から、神経細胞のカルシウムイオン濃度が低い場合でもシナプトタグミンは神経前細胞の細胞膜と弱く結合し、開口分泌の引き金となる、カルシウムイオン濃度依存的な強い結合に備えているという生理的モデルを示すことができた。この結果は、Biophysical Journalに筆頭著者の原著論文として掲載された。続いて、開口分泌において膜融合を引き起こすSNAREタンパク質とシナプトタグミンとの相互作用の解析を行った。シナプトタグミンを結合させた原子間力顕微鏡探針を用いて、標的膜上に再構成したt-SNAREs分子との結合部位を認識イメージングによって解析した。結果、シナプトタグミンは再構成膜だけでなく、再構成膜上のt-SNAREs分子とも1分子レベルで結合することが分かった。この結果は、シナプトタグミンが単に神経細胞の細胞膜のみと結合するだけではなく、t-SNAREとも特異的に結合することを示しており、シナプトタグミンがt-SNAREs・神経細胞の細胞膜と複合的に結合することによって引き起こされる膜融合促進機構を示すものである。これらの結果をもとにして現在、本研究員が筆頭著者の原著論文を執筆中である。
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Research Products
(3 results)