2009 Fiscal Year Annual Research Report
高集積磁気メモリ用垂直磁化膜を用いたスピン注入型トンネル接合素子の開発
Project/Area Number |
09J05755
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金 国天 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 強磁性トンネル接合 / コバルト白金規則合金 / 垂直磁化膜 / 高磁気異方性 / スピン注入磁化反転 |
Research Abstract |
磁気テバイスでは高集積するため素子を微細化すると外部の熱エネルギーによって磁性層は超常磁性化し磁化が安定しない熱揺らぎ問題が発生してしまう。その解決方法の一つとして高い磁気異方性エネルギーを有する強磁性材料を用いることが挙げられる。本研究で用いる垂直磁化L1_0-Co_<50>Pt_<50>合金はバルクで10^7 erg/cm^3を超える高い磁気異方性エネルギーを有することかち注目されているが,L1_0合金薄膜を用いた素子作製の研究例は少なく本研究は極めて重要である。 今年度は高TMR比をし,またスピン注入磁化反転が可能な強磁性トンネル接合素子を開発することを目標とした。まずスピン注入磁化反転の低減のために必要な低飽和磁化および高磁気異方性定数を合わせ持つCoPt系合金電極の探索を行い,その後スピン注入磁化反転可能な素子作製のため,磁化反転層の薄膜化(膜厚<3nm)とMgO絶縁層の低抵抗化(膜厚1nm程度,抵抗<10Ωμm^2)を行った。その結果を以下に示す。 1.Co_<50-x>Ni_xPt_<50>合金にNiの添加量を増やすにつれ飽和磁化が減少し,Niが37.5%のとき磁気異方性エネルギーは10^6erg/cm^5以上を保ったまま飽和磁化を157emu/cm^3まで低減できた。 2.Co_<50-x>Ni_xPt_<50>(Ni=0,10,15,37.5)の膜厚を薄くしたところ,いずれの組成の膜においても3nmまで垂直磁気異方性を有する結果が得られた。特にCo_<50>Pt_<50>膜は2nmでも垂直磁気異方性が得られた。 3.MgO絶縁層は0.8nm程度まで薄くすることでスピン注入磁化反転可能な低抵抗値になることが分かった。 4.TMR比はCo_<50>Pt_<50>/MgO/Co_<50>Pt_<50>とCo_<35>Ni_<15>Pt_<50>/MgO/Co_<35>Ni_<15>Pt_<50>との場合,それぞれ室温で6%,10Kで13%と室温で1%,10Kで10%が得られた。 以上の結果からL1_0-CoNiPt電極を用いたTMR素子の作製ができた。TMR比は数%ではあったが素子構造の最適化によってTMR比はより向上すると考えられる。またスピン注入磁化反転可能な領域の値を持つ電極と絶縁層の作製条件を定めることができた。
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Research Products
(1 results)