2010 Fiscal Year Annual Research Report
東シベリア窒素ミッシングリンクの解明 -植生と微生物叢の化学交信システムの解析-
Project/Area Number |
09J05778
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原 新太郎 北海道大学, 大学院・農学院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 窒素固定 / 土壌微生物 / 北方林 / 東シベリア / スカンジナビア / アセチレン還元法 / ジェランガムソフトゲル |
Research Abstract |
東シベリアタイガ林林床土壌微生物群集はジェランガムソフトゲル培養法によるアセチレン還元アッセイで高い窒素固定能を発揮するが、そこから分離した窒素固定細菌を単独で培養しても同等の結果は得られない。窒素固定細菌と非窒素固定細菌の二者共培養試験を行い、Pseudomonas sp.と.Luteibacter sp.、Luteibacter sp.とBurkholderia sp.それぞれを共培養すると最大で単独培養の7倍程度の活性を発揮する事を見いだした。さらに、16S rRNA遺伝子をターゲットとした変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(DGGE法)により、これらの細菌株が活発にアセチレン還元を行う微生物群集の主要な細菌に近縁であることを確認した。この結果は土壌窒素固定における補助細菌の重要性を示している。 東シベリアタイガ林での研究を他の森林生態系に応用するため、同じ北方林に分類されるスカンジナビア北部の森林限界付近で土壌サンプリングを行った。採取した土壌を東シベリア土壌の試験と同様の低炭素濃度ジェランガムソフトゲルを用いて培養し、ツンドラ帯(森林限界付近低木地帯)の有機物層および直下の無機質層のアセチレン還元能が近隣の森林土壌と比較して著しく高いことを見いだした。森林限界では環境変化によって容易に樹木が生育不能になりうることが指摘されており,土壌窒素固定メカニズム解明が森林生態系維持につながる可能性がある。
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Research Products
(5 results)