2010 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀初頭アメリカ合衆国における社会保障思想の形成
Project/Area Number |
09J05791
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
牧田 義也 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アメリカ史 / アメリカ研究 / 社会政策 / 障害者福祉政策 / 医療史 / 障害史 |
Research Abstract |
本研究は、20世紀初頭のアメリカ合衆国における社会保障思想の形成過程とその社会的含意を考察することを目的とする。平成22年度はまず第一に、ニューヨーク市の障害者福祉政策について平成21年度からの分析を継続し、20世紀初頭の同市の知的障害者福祉政策が、他州、特にマサチューセッツ州の同様の行政施策の直接的影響の下で再編されていった過程を明らかにした。次いで第二に、合衆国の社会保障制度の形成期に対して国際的な社会政策上の思想連関が与えた影響に注目した研究を進めた。当時ニューヨーク市を中心に活動した社会改良家・制度策定者の多くが、アジア及びヨーロッパで活動ないし調査を行った前歴をもっていた。このうち、平成22年度は日本を中心としたアジア諸国との障害者福祉政策上の思想連関について分析した。20世紀初頭の合衆国の社会政策には、日本を含むアジア諸国における医療伝道や社会事業への参加の経験から得られた知見が反映されていた。さらに第三に、平成22年度は職業紹介制度と社会保険をめぐるイギリス・アメリカの思想上の相互影響関係についても分析を進めた。20世紀初頭合衆国の社会政策はつねに国際的な思想連関の中で形成された。こうした観点から、アメリカ合衆国内での史料調査に加えて、ヨーロッパで国際会議報告を行い、各国の専門研究者と積極的な交流をもつとともに、研究成果の国際的発信に努めた。この成果を平成23年度以降、現在投稿中及び出版準備中のものを含めて専門誌での発表等のかたちでまとめることが課題となる。
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Research Products
(3 results)