2011 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀初頭アメリカ合衆国における社会保障思想の形成
Project/Area Number |
09J05791
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
牧田 義也 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アメリカ史 / アメリカ研究 / 医療史 / 社会保障制度史 |
Research Abstract |
本研究の目的は、20世紀初頭のアメリカ合衆国における社会保障思想の形成過程とその社会的含意を、ニューヨーク市を事例として考察することである。この目的のために、平成23年度は10月3日~16日にかけて合衆国ワシントンD.C.の国立公文書館で、また2月19日~3月17日の間ニューヨーク市にて市公文書館及びコロンビア大学・ニューヨーク大学の文書館で史料調査を実施した。これらの調査から、合衆国医療政策の形成過程において陸軍看護部隊の海外経験が果たした役割、その経験がニューヨーク市をはじめとする合衆国内主要都市の社会福祉行政に転用されていった過程について明らかにするとともに、ニューヨーク市の失業対策の政策形成過程の詳細を明らかにした。さらに、9月13日~23日にかけて福岡市の市立図書館をはじめとする関連文書館にて、社会保障制度の形成過程における日米関係の重要性を確認する史料を収集し、国際的連関から合衆国の社会政策を分析する視点を得た。 平成23年度は、当初7月にブラジル・リオデジャネイロで開催された国際アメリカ学会年次大会にて学会報告を行う予定であったが、科学研究費補助金額の最終決定の遅れに伴い、史料収集を優先するため同年次大会への出席・報告を見送った。その後予算の最終決定に伴い、代替の研究報告として1月3日、カンボジア・シェムリアップで開催されたWorld History Association Symposiumにて発表を実施した。同発表は20世紀転換期の合衆国陸軍看護部隊によるフィリピンを中心とする太平洋地域での医療看護活動に焦点を当て、アメリカ人女性看護師たちの従軍活動がのちにニューヨーク市をはじめとする合衆国内の主要都市における福祉プログラムの策定に及ぼした影響を分析し、社会政策の環太平洋思想連関の一側面を明らかにした。
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Research Products
(1 results)