2009 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣凍結保存バンク化に伴う単離原始卵胞の体外発育培養システムの開発
Project/Area Number |
09J05813
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
諸白 家奈子 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原始卵胞 / 体外発育培養 / PTEN / ボスファターゼインヒビター / Kit Ligand |
Research Abstract |
哺乳動物の卵巣では、生殖可能な年齢時、卵胞内に顆粒層細胞で囲まれた卵母細胞が数千から数万個存在するが、最終的に、動物の一生涯で排卵される割合は1%未満といわれる。したがって、大量に存在する各発育段階の卵胞内卵母細胞を有効利用する技術の開発が望まれている。現在までに卵巣内卵胞を単離し体外発育培養する方法が開発され、この方法は多くの動物種で利用できる可能性が高く、初期卵胞を単離し体外で発育培養することは利用価値が高い。しかしながら、マウスにおいて直径70μm未満の初期卵胞を体外で発育培養し、産子の獲得に成功しているものの、卵巣内卵母細胞のほとんどを占有する最も未発育な原始卵胞を含む初期卵胞の体外発育培養法は確立されていない。そこで、本研究では大量の原始卵胞を供給できるマウスを供試し、単離した原始卵胞を成熟卵胞まで体外において発育きせる培養系の開発を目的として、原始卵胞の発育開始を抑制している脱リン酸化酵素Ptenおよび原始卵胞の発育開始を促進する因子Kit Ligandに焦点を当て研究を行った。その結果、(1)卵胞未形成卵母細胞の体外発育培養において、ホスファターゼインヒビターおよびKLはfollicle activationを促進し、PTENインヒビターbpVとKLの同時導入により、培養5日目までに直径が25μm以上に達し透明帯形成を示す卵母細胞まで発育させる培養系が確立された。(2)原始卵胞の体外発育培養において、PTENインヒビターbpVおよびKLは体外において原始卵胞内卵母細胞のfollicle activationを促進することが示され、原始卵胞をbpVで前培養し、続いてKL導入培地で培養することにより、直径30μm以上に達し透明帯を形成した卵母細胞へ発育させることが可能な体外卵胞発育培養系が確立された。(3)前胞状卵胞の体外発育培養において、GDF-9を導入することにより生存性を高め、成熟卵子の指標である直径70μm以上までの卵母細胞へ発育させ、続いて成熟培養し体外受精することで、分割卵の作出が可能である培養系が確立された。
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Research Products
(1 results)