2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05835
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
芳賀 健吾 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 固体酸化物形燃料電池 / アノード / 化学的劣化 |
Research Abstract |
SOFCの実用化のためには,その燃料適応性に関する利点を最大限に実現する必要があり,多様な不純物がセル性能に及ぼす効果に関する知見は欠かせない.特に長時間運転においては,これら微量不純物の混入がシステムの耐久性を大きく左右することが懸念される.そこで,本研究では,燃料中に含まれる典型的な不純物種,および熱力学平衡計算から得られたSOFCアノード材料の化学的安定性に関する知見を基に,代表的な5種類の元素種を選択し,それぞれがSOFC性能に及ぼす影響について主にSOFCセル性能の時間変化を測定することにより,系統的に評価することを目的とした.そこで,本年度は特に硫黄系以外の微量不純物に着目した。塩素はその燃料中濃度にほぼ比例した速度で経時劣化を引き起こし,またFESEM-EDX(エネルギー分散型元素分析装置)による観察によりNi塩化物の昇華に起因する顕著なアノード構造の変化を確認した.リンによる被毒試験後には,特にセルのアノード表面近傍においてNi粒子の凝集を確認し,EDXやXRD(X線回折)分析により,Niリン化物(Ni_mP_n)の生成を確認した.このNiリン化物の共融点が870℃であり,SOFC作動中に液相に変化し,アノードの構造変化がもたらされたものであると考えられる.燃料中の微量なホウ素も顕著なアノード構造変化を引き起こし,10μm以上に粒成長したNiがアノード表面に存在することが明らかとなった.さらに,シロキサンは燃料中で熱分解後,アノードの空隙中にシリカとして蓄積し,三層界面(TPB areas)を減少させ,また電極反応に必要なガス拡散を阻害させることによりSOFC性能劣化をもたらすことが明らかとなった.
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Research Products
(5 results)