2010 Fiscal Year Annual Research Report
超高性能ナノコンポジットゲルの構造解析と分子論的研究
Project/Area Number |
09J05839
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 理彦 東京大学, 大学院・新領域創成科学科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 小角散乱 / ナノコンポジット / コントラスト変調法 / ミクロ相分離 / 応力緩和 / ヒステリシス / クレイ / 配向 |
Research Abstract |
本申請者は昨年度に小角中性子散乱法を用いて高強度ハイドロゲルであるナノコンポジットゲル(NCゲル)の変形下における構造変化を調べている。変形下における構造変化を調べることにより、その微視的構造と力学物性の間の関係をあきらかにすることが本研究の目標である。本年度は、以下に述べる2つ研究テーマにより研究をおこないNCゲルのマクロな力学物性について分子論的な観点からさらなる知見を得た。 ミクロ相分離したNCゲルの変形機構 NCゲルは内包する高分子鎖の相分離温度以上でミクロ相分離する。クレイナノ粒子により高分子鎖のマクロ相分離がおさえられ、クレイを介在して高分子鎖の双連結ネットワークが形成されていることを明らかとした。本研究では、ミクロ相分離したNCゲルの変形下での構造を調べ、またマクロな力学物性と微視的構造との関係についても明らかとした。ミクロ相分離したNCゲルの変形機構の解明によりこれまで研究してきた室温で行ってきた研究では観測が難しかったネットワークの変形についても明確な構造変化の情報を得られ、NCゲルの優れた力学物性(高延伸生、高靭性)を示す理由がさらに明らかになった。 NCゲルの緩和過程での微視的構造変化 NCゲルは一軸延伸後、一定延伸倍率に保持すると応力が減少する(応力緩和)。応力緩和過程においてNCゲル中の分子の微視的構造がどのように変化しているかを明らかにするために、小角X線散乱および小角中性子散乱を用い時分割測定を行った。X線を用いるとクレイ粒子のみ、中性子を用いると高分子鎖のみを観測することが可能である。応力緩和の主たる原因は高分子鎖の解きほぐれによるものであることがわかった。
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Research Products
(1 results)