2011 Fiscal Year Annual Research Report
高等植物の環境適応戦略におけるシス型ポリイソプレノイドの生理機能解明
Project/Area Number |
09J05843
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
解良 康太 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | イソプレノイド / シロイヌナズナ / 環境適応 / 植物生理学 |
Research Abstract |
本研究では,環境ストレスで発現誘導され,植物特異的な鎖長のシス型ポリイソプレノイド生合成を触媒するシロイヌナズナのシス型プレニル鎖延長酵素AtCPT5をターゲットとし,多様な生成物鎖長分布を示す植物のシス型ポリイソプレノイドの環境適応における生理的役割を分子レベルで解明することを目標とする. 1.シス型ポリイソプレノイドの分子機能の解析 シス型ヘプタプレニル二リン酸の環境ストレス応答における機能解析を解明するために,タンパク質プレニル化への影響,糖タンパク質生合成への影響について検討を進めた。タンパク質プレニル化への影響については,シロイヌナズナの実生を,^3H標識されたFPP及びGGPPとともに培養し,その取り込み効率について検討を行った.その結果,GGPPを取り込ませた植物体から標識されたタンパク質を検出することができた. シス型ヘプタプレニル二リン酸の環境ストレス応答における機能解析を解明するために,野生株と変異株からそれぞれタンパク質を抽出し,1次元のSDS-PAGEで分離後,糖鎖染色を行った.その結果,両サンプル間に顕著な差が観察されなかったことから,シス型ヘプタプレニル二リン酸の分子機能が糖担体脂質ではないことが示唆された.また,AtCPT5が小胞体局在であることから,小胞体における影響を検討するため,小胞体ストレス応答のマーカー遺伝子であるBiP1の発現量を半定量RT-PCRで検討したところ,変異体で恒常的にBiP1の発現量が上昇していた. 2.総括 AtCPT5及びその生成物であるシス型ヘプタプレニル二リン酸の生理的機能として,これまでに提唱されていたような糖担体脂質やアンチオキシダントとしての機能以外に小胞体膜の安定性に寄与している可能性を提唱することができた.この機能モデルを裏付けるために,今後は膜輸送への影響などを検討することを考えている.
|
Research Products
(2 results)