2010 Fiscal Year Annual Research Report
生態系発達の初期過程における生産者・基質・分解者の関係性とその変化
Project/Area Number |
09J05853
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
吉竹 晋平 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 荒原生態系 / 一次遷移 / 土壌微生物 / 寒地荒原 / 火山荒原 / 基質制限 / PLFA / DGGE |
Research Abstract |
寒地荒原での一次遷移系列(高緯度北極の氷河後退域)における植生発達と有機炭素蓄積量の分布に関する論文をまとめた。この研究では一次遷移による植生の発達が土壌有機炭素の蓄積に大きく影響していることが示された。 前年度までに、富士山の火山噴火後の一次遷移系列に沿って採取した土壌について、リン脂質脂肪酸(PLFA)組成や炭素源の資化性などを指標として土壌微生物群集の群集構造解析を行ってきた。本年度は同じ土壌から抽出したDNAに基づいて分子生物学的手法(変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法;DGGE)による群集構造解析を行った。これにより、より詳細な群集構造解析が可能となった。また、異なる指標を用いるこれら3手法にはそれぞれ一長一短があり、これらを併用することでより敏感に土壌微生物群集の機能的・構造的差異を検出できることが示唆された。 昨年度実施した火山荒原土壌に対する基質添加実験によって得られ、凍結乾燥保存いておいた基質添加済み土壌に対するPLFA分析に着手した。従来は、土壌から抽出し、前処理後を施したPLFA試料に対してGC-MSによる定性・定量分析を行ってきたが、本年度は多量の試料をより迅速に分析するためにGC-MSに代わってGCによる定量を試みた。現時点ではまだ分析条件の検討に余地が残っているが、GCを使用することでより迅速な分析が可能であることが示された。基質添加実験の試料についてPLFA分析を進め、基質添加後の微生物バイオマスおよび群集構造の変化を明らかにすることで、土壌中の微生物群集に対する基質制限の有無・程度を明らかにしていく。
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Research Products
(8 results)