2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J05894
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
宮田 裕光 Keio University, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | プランニング / 迷路 / 近赤外線分光法(NIRS) / 前頭前野 / 血流変化 / 巡回セールスマン問題 / 経路方略 / 発達 |
Research Abstract |
思考や意識の起源に行動的、神経科学的観点からアプローチするため、ハトに用いたものと同様のコンピュータ画面上での迷路課題をヒト成人25名に課し、課題遂行に関連する前頭前野の神経活動を近赤外線分光法(NIRS)によって計測した。十字形の迷路課題において、試行の途中で目標地点の位置が変化した試行では、元の目標の向きに誤ってカーソルを進めるハト同様の誤反応がみられた。こうした誤反応試行においては、とくに右半球の前頭前野において、2つのピークを持つ血流変化の波形が観察された。これは、誤反応をした後で、反応の向きを修正するのに要した認知活動を反映している可能性がある。また、別の迷路をもちいて、課題を解き始める前に課題を10秒間事前に呈示するテストをおこなったところ、とくに右半球の計測チャンネルで、事前呈示期間中と課題解決開始後にそれぞれピークを持った波形が観察された。これは、課題解決開始前のプランニングを反映している可能性がある。さらに、ハトに課したものと同様の、タッチモニター上で複数の目標に順に訪れる巡回セールスマン問題を2-5歳のヒト幼児27名と成人11名に課した。幼児の方略や年齢差はテストにより異なっていたが、効率的な経路選択が年齢とともに高まる傾向もみられた。総合して、神経基盤と発達の観点からプランニングに関する新知見を得たといえ、今後の比較研究の基盤となると考えられる。
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