2010 Fiscal Year Annual Research Report
寄生虫ミトコンドリアの特異的エネルギー転換機構に関する分子進化学的研究
Project/Area Number |
09J05920
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 功 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | ミトコンドリア / 遺伝子発現系 / パーキンサス / フレームシフト / アピコンプレックス類 / 渦鞭毛藻類 / 寄生虫 / 電子伝達鎖 |
Research Abstract |
本研究の目的は、貝類寄生虫Perkinsusのミトコンドリア遺伝子発現系や電子伝達鎖の解析を行うことにより、近縁生物群アピコンプレックス類や渦鞭毛藻類のミトコンドリアにおける遺伝子発現の特性について進化学的知見を得ることである。昨年度までの研究から、Perkinsusのミトコンドリア遺伝子Pmcox1の発現において、AGGとCCCコドンにおける極めて高頻度なフレームシフトが起こっていることを明らかにした(Masuda et al.,2010)。当研究室において構築した近縁種のP.olseniのドラフトゲノムデータベースからPmcox1と96%塩基配列が一致するDNA配列を見出し、それが10か所のフレームシフトモチーフを全て保存していることを確認した。またP.marinus cob様配列に極めて類似した配列も見出され、5か所のフレームシフトモチーフを完全に保存していた。このことから、このフレームシフトは広くPerkinsus属のミトコンドリア遺伝子の発現に起こっていると考えられた。続いてPerkinsusのミトコンドリア電子伝達鎖複合体の精製や生化学的解析を視野に入れ細胞破砕・分画条件を検討したが、高純度で高活性を示すミトコンドリア画分を得ることはできなかった。一方でP.marinus形質転換ベクターを用いたGFP融合ミトコンドリアタンパク質発現株を作成できたことから、今後この株を利用したミトコンドリア画分の調製を進めることが可能となった。 また、前述のP.marinusの粗オルガネラ画分を用いた生化学的解析から、ミトコンドリア電子伝達鎖複合体I-IV、Alternative Oxidase (AOX)の活性が確認された。Pmcox1の発現産物が活性中心となる複合体IVの活性は、その特異的阻害剤KCNの添加により完全に阻害されたことから、Pmcox1が実際に発現し電子伝達鎖を構成していると考えられた。
|
Research Products
(5 results)