2009 Fiscal Year Annual Research Report
現代の中国に見る「不文律と成文法の架橋」-上海市の事例を中心に
Project/Area Number |
09J05922
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
佐藤 奈緒 Tokyo University of Foreign Studies, 大学院・総合国際学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中国 / 法律扶助 / コーズ・ローヤリング / 弁護士 / 農民工 / NGO / 地域研究 |
Research Abstract |
本年度は、農村からの出稼ぎ者(農民工)が都市部で直面する法律問題について、その問題解決を担う人材・組織の分業・協業体制を明らかにすることを目標に掲げ、次の二つの研究課題を遂行した。 (1)労働組合(工会)による法律扶助の現状分析と問題把握 (2)草の根レベルで構築されている出稼ぎ者の相互扶助ネットワーク(農民工NGO)が展開している法律扶助についての実態分析 (2)については、以下の3つの現地調査を遂行した。 調査1)農民工NGOの実務担当者に対するインタビューを実施し、草の根レベルに出稼ぎ者向け法律扶助の知識やノウハウが蓄積されていることを確認した。 調査2)農民工NGOで法律扶助を提供する元農民工のソーシャル・ワーカーに対するインタビューをおこなった。調査と並行して先行研究の検討をおこない、「草の根人材が法律サービスを提供する」という中国のモデルを米国のコーズ・ローヤリングと比較し、研究の独自性を高めた。 調査3)農民工NGOのボランティア弁護士に対するインタビューをおこない、弁護士の活動状況や動機についての実態を把握した。 なお、当初は上海を主たる現地調査のフィールドとする予定であったが、北京に多くの農民工NGOが存在していること、調査者としてそれらへのアクセスが可能であったことから、本年度は北京を主な予備的な調査地に選定した。 本年度の研究成果は、学術誌への投稿論文(2009年7月発表)と書評論文(採録決定済)にまとめた。
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Research Products
(3 results)