2010 Fiscal Year Annual Research Report
現代の中国に見る「不文律と成文法の架橋」―上海市の事例を中心に
Project/Area Number |
09J05922
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
佐藤 奈緒 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 中国 / 法律扶助 / ボランティア / 弁護士 / 農民工 / 草の根NGO / 地域研究 |
Research Abstract |
本年度は、農村からの出稼ぎ者(農民工)向けに、沿海大都市において法律支援を実施している草の根ネットワークの事例について、弁護士の参加動機と活動状況を把握するための現地調査を実施した。さらにその調査結果にもとづき、先行研究と関連させながら考察を進めた。具体的におこなった作業と成果は以下のとおりである。 1、北京の草の根ネットワーク「小小鳥打工互助熱戦」にボランティア登録している弁護士8名への聞き取り調査の実施:弁護士に対しては主に参加動機と活動状況についてのインタビューをおこない、調査記録を作成した。同調査からは「沿海大都市での弁護士急増にともなう競争の激化に伴い、若手弁護士にとって、ボランティアが実務経験の蓄積や顧客の獲得のための手段となっている」という側面が浮かび上がった。 2、中国研究者への聞き取り調査の実施:華南地域の農民工NGOについて、草の根の労働運動という視点から先駆的研究をおこなっている研究者へのインタビューをおこない、先行研究の検討面での示唆を得た。 3、先行研究の検討と事例の考察:昨年度は草の根レベルでの社会変革という視点から弁護士の法律扶助を考察したが、今年度はさらにボランティアをめぐる先行研究も踏まえ、調査結果についての考察を試みた。 以上の作業を経て研究論文作成を進めた。執筆過程では、学内外の研究者からの貴重な助言や示唆を得て、それらをもとに改稿をおこなった。来年度は研究論文の完成をめざす。
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