2009 Fiscal Year Annual Research Report
癌の転移におけるTGF-beta/BMPシグナルの解析
Project/Area Number |
09J05944
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝野 蓉子 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | TGF-beta / 転移 / 癌幹細胞 / スキルス胃癌 / ALDH1 |
Research Abstract |
種々の癌において高い腫瘍形成能を持つ癌幹細胞を濃縮できるマーカーが同定されているが、スキルス胃癌の癌幹細胞のマーカーはまだ見つかっていない。そこで、スキルス胃癌の癌幹細胞を濃縮できるマーカーを同定し、スキルス胃癌幹細胞の維持におけるTGF-βシグナルの役割を解析した。 Aldehyde dehydrogenase(ALDH)1は、種々の細胞で幹細胞集団を濃縮できるマーカーとして報告されている。 ALDH1がスキルス胃癌幹細胞のマーカーの候補となり得るかを検討するため、スキルス胃癌の症例から得られた一連の細胞株を用いてALDH1 mRNA発現を比較した。ALDH1は、スキルス胃癌患者の原発腫瘍から得られた細胞を同所移植したマウスの転移組織から得られた細胞株において高い発現が見られた。 ALDH1+スキルス胃癌細胞が、癌幹細胞様の性質を持つか明らかにするため、スキルス胃癌細胞株OCUM-2MLNからAldefluor assayとFACSを用いてALDH1-細胞とALDH1+細胞を単離し、in vitroでの増殖とcolony formation、in vivoでの腫瘍形成能を比較した。ALDH1+細胞は、ALDH1-細胞に比較してin vitroでの増殖が速く、寒天中でのコロニー形成能が高く、in vivoで高い腫瘍形成能を示した。ALDH1+細胞によって形成された腫瘍は、ソートする前の細胞と同様にALDH1-、ALDH1+の両方の細胞を含んでいた。 ALDH1+スキルス胃癌細胞に対するTGF-βの作用を検討した結果、TGF-βは、ALDH1のmRNAとタンパクの発現を減少させ、ALDH1+細胞の割合を減少させた。 以上の結果から、ALDH1がスキルス胃癌幹細胞の重要なマーカーの1つであり、TGF-βがスキルス胃癌幹細胞の数を減少させることが示唆された。
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Research Products
(1 results)