2009 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯モンスーン林における天然林から人工林への転換が流域水資源量に及ぼす影響の評価
Project/Area Number |
09J05958
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
立石 麻紀子 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 樹液流計測 / 蒸散量 / 熱帯モンスーン気候 / カンボジア / コミュニティフォレスト / 乾季 / アカシア / ユーカリ |
Research Abstract |
熱帯モンスーン気候下において、天然樹種と外来樹種の蒸散量と蒸散特性、さらに成長と水消費の関係を明らかにし、天然林から人工林への転換がその周辺水環境に与える影響を検討することを目的とした。今年度は調査地であるカンボジアで天然樹種2種と外来樹種2種の蒸散量とその季節変化を把握することを目標とし、物理環境計測に加えて国内で構築した樹液流計測システムを用いた長期観測を行った。さらに、各樹種の葉面積やバイオマスを把握するため、伐倒調査によるアロメトリー測定を行った。調査地の降水量は乾季(2008年12月-2009年4月)は378mm、雨季(2008年5月-11月)は1605mmで、比較的降水量が多い乾季となり、4月後半に小雨季が存在した。またこの乾季は湿度が高く、乾季の間の日中飽差ば雨季に比べても低かった。したがって、今年の乾季は例年に比べ弱い乾燥の年であったと考えられる。2009年9月には、地下水位が地下30cm付近にまで上昇していることが確認された。対応して土壌体積含水率も9月から11月にかけて湿潤であったがその後減少し、2009年1月には60cm深の値が0.2m^3m^<-3>を下回った。観測開始日より1年間のA.auriculiformis及びS.roxburghiiの単木蒸散量を比較した。雨季後半に比べると、乾季の後半にA.auriculiformisで蒸散量の減少がみられた。しかし、在来樹種であるS.roxburghiiはこの期間、蒸散量の減少は観察されず、土壌水分の減少後(2月以降)も高い蒸散量を維持していた。したがってS.roxburghiiはA.auriculiformisに比べ乾季でも安定して吸水していることが推測される。一方、雨季の蒸散量は樹種間でのばらつきはほとんどなく、本調査地での雨季における外来樹種の蒸散量は天然樹種の水消費量とほぼ同程度であることが分かった。
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Research Products
(5 results)
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[Presentation] Characteristics of water use in Fagus crenata among 3 sites throughout Japan.2009
Author(s)
Tateishi, M., Utsumi, Y., Suyama, Y., Hiura, T., Kumagai, T.
Organizer
American Geophygical Union 2009 Fall meeting
Place of Presentation
San Francisco, USA
Year and Date
2009-12-15
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