2010 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯モンスーン林における天然林から人工林への転換が流域水資源量に及ぼす影響の評価
Project/Area Number |
09J05958
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
立石 麻紀子 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 樹液流計測 / 蒸散量 / 熱帯モンスーン気候 / カンボジア / コミュニティフォレスト / 乾季 / アカシア / ユーカリ |
Research Abstract |
熱帯モンスーン気候下において、天然樹種と外来樹種の蒸散量と蒸散特性、さらに成長と水消費の関係を明らかにし、天然林から人工林への転換がその周辺水環境に与える影響を検討することを目的とした。今年度は調査地であるカンボジアで天然樹種2種と外来樹種2種の蒸散量とその季節変化、その年変動を把握することを目標とし、物理環境計測に加えて国内で構築した樹液流計測システムを用いた長期観測を継続した。併せて、より詳細な樹木の水利用について解明を進めるために葉の水ポテンシャル計測を行った。さらに、対象地のバイオマス把握のため、1haの植生調査及びバイオマス調査を行った。 調査地の降水量は乾季(2008年12月-2009年4月)は378mmとなり昨年乾季よりも少なく、乾燥の強い乾季であった。外来種であるA.auricul iformisでは、乾燥期間で蒸散量の減少が見られたが、S.roxburghli, E. camadilansis, D. obtusifoliusの3樹種では乾季後半においても高い蒸散量を維持していた。したがって、A. auriculiformisでは飽差が増大するにつれて気孔応答が敏感に反応していることが明らかとなった。他の3種では、飽差が増大しても気孔を閉じることなく蒸散(光合成)を行っていると考えられた。この地域では降雨がほとんど見られなかった2010年乾季においても地下水位が3m付近である。A. aurlculiformisに比べると、その他の3樹種は、根系を発達させて乾季でも地下水へのアクセスを可能にしており、水分供給を行えていることが示唆された。
|
Research Products
(3 results)