2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本産ササ類のゲノム進化学的解析とその情報を用いた分類体系の再構築
Project/Area Number |
09J05970
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松尾 歩 Tohoku University, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 日本産ササ類 / 葉緑体ゲノム / 核ゲノム / DNAバーコーディング / 交雑種 / 系統地理学的解析 / 集団遺伝学的解析 / 分子系統学的解析 |
Research Abstract |
今年度は、日本産ササ類の大局的な種間関係を明らかにすることを目的として、1)日本産ササ類の形態による分類体系の情報整理、2)日本産ササ類における核・葉緑体ゲノム内の多型領域の探索、3)核・葉緑体ゲノムの多型領域を用いた日本産ササ類の分子系統樹の構築、4)日本産ササ類の主要5種(チシマザサ・チマキザサ・クマイザサ・ミヤコザサ・スズタケ)を対象とした集団サンプリングを計画した。 研究の主な成果は、次の通りである。1)日本産ササ類の分類学的研究史をまとめ、形態による種同定の問題点を抽出、2)日本産ササ類の種同定技術の習得と分布状況の把握のための現地調査(御蔵島・八丈島・中禅寺湖・戸隠・京都で実施)、3)日本産ササ類の分子系統解析を行うための試料採取(富士竹類植物園・京都市洛西竹林公園において13属51種を採取)、4)5属25種32試料を対象に、葉緑体ゲノム内の24領域から多型領域を探索、5)多型が検出された葉緑体ゲノム内の10領域を用い、分子系統樹を構築、6)日本産ササ類の主要5種を対象とした集団サンプリングを行うための候補地選定に着手(種ごとの分布域を網羅するように1種5~10集団、計25集団以上を選定予定)、7)日本産ササ類のDNAバーコーディング登録に向け、葉緑体ゲノム中の3領域(rbcL、matK、trnH-psbA)を対象としたササ類に特異的なマーカーの開発に着手した。 葉緑体ゲノム内の10領域を対象とした解析の結果、形態による分類との不整合が検出され、交雑種の存在が推測された。そのため、平成21年度に実施できなかった核ゲノムの多型領域でも同様の解析を行い、交雑種の系統的位置づけを明らかにしたいと考えている。また、日本産ササ類の主要5種を対象に、系統地理・集団遺伝学的解析を進めるとともに、日本産ササ類のDNAバーコーディング登録を行いたいと考えている。
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Research Products
(3 results)