2011 Fiscal Year Annual Research Report
日本産ササ類のゲノム進化学的解析とその情報を用いた分類体系の再構築
Project/Area Number |
09J05970
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松尾 歩 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 日本産ササ類 / DNAバーコーディング / 形態変異 / 遺伝的変異 / 地理的変異 / 葉緑体ゲノム / 分子系統 / 分類体系 |
Research Abstract |
最終年度である今年度は、日本産ササ類のゲノム進化学的解析とその情報を用いた分類体系の再構築を行うことを目的とし、1)日本産主要ササ類5種(チシマザサ・チマキザサ・クマイザサ・ミヤコザサ・スズタケ)の22地域集団1260サンプルを対象とした形態変異に関する解析(連続的に変異する形質と特徴的な形質を抽出)、2)DNAバーコーディング領域(rbcL、matk、trnH-psbA)を対象とした日本産タケ・ササ類(13属47種64サンプル)の分子系統樹の構築、3)葉緑体ゲノムの多型領域を対象とした日本産主要ササ類5種(22地域集団、152サンプル)の種間・種内の遺伝的変異および地理的な変異に関する解析を行うことを計画した。 研究の成果は、次の通りである。1)日本産主要ササ類5種の全22地域集団1260サンプルを対象として形態変異に関する解析を行った結果、種によっては特徴的な形質を持つことが分かったが、同定基準となっている形質の多くが連続的に変異していることが認められた。2)DNAバーコーディング領域における分子系統解析を行った結果、形態が顕著に異なっているタケ・ササ類の種においてもDNAバーコーディング領域では種を明瞭に区別することが困難であることが分かった。3)日本産主要ササ類5種の種間・種内の遺伝的な変異および地理的な変異を葉緑体ゲノムの多型領域(約8000bp)を用いて解析した結果、葉緑体ゲノムの多型領域では日本産主要ササ類5種の種内・種間および地理的な変異に明瞭な傾向が認められないことが分かった。 上記の結果から、日本産ササ類の種は形態だけではなく遺伝的にも極めて似ている分類群である可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)