2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト脳高次機能に関わる顎口腔顔面領域の時空間的神経ネットワークの解明
Project/Area Number |
09J05978
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Research Institution | Nihon University |
Research Fellow |
坂本 貴和子 日本大学, 医学部附属病院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 体性感覚誘発脳磁場反応 / 舌 / 咀嚼 / 事象関連電位 / てんかん / μリズム |
Research Abstract |
これまで私は一貫して、舌体性感覚処理機構の検討と、咀嚼がもたらす効果についての検討を自身の研究の二本柱としてきた。そしてこれらの中で得られてきた私なりの見解や解明出来たことを、本年度は健常者で得られた生理学的知見をひとつの系統として纏め上げるとともに、さらには得られた見解を様々な疾患を持つ人へ繋げ、生かしていく道を探し続けてきた。始めに私は、昨年度まで継続してきた機能的MRIによる神経イメージング手法を用いた論文のアクセプトを待ち(Sakamoto et al.,2010,Neuroscience Research)、機能的MRIとMEGの両機器を用いて得られた舌体性感覚処理機構についてReviewに纏め、学術雑誌に掲載された(Sakamoto et al.,2010,Frontiers in Integrative Physiology)。 次に咀嚼が脳機能に及ぼす影響について得られてきたデータを纏め、Reviewを作成し学術雑誌に掲載された(Sakamoto et al.,2010,Anti-Aging Medicine)。しかしこの分野はまだまだ発展途上であり、私自身咀嚼をすることで運動抑制にどのような効果がみられるかを検討するため、現在早稲田大学スポーツ科学学術院と共同で事象関連電位を用いた実験を行っている最中である。 そして現在、私はこれまで行ってきた以上の研究結果を踏まえ、てんかん発作とてんかん患者の体性感覚処理機構の関連を調べるべく、てんかんの術前検査で訪れる患者より手の正中神経刺激を行った際のデータを集めている。てんかん発作は体性感覚領域より発生しているμリズムと呼ばれる10Hzから15Hzの脳波を賦活させることで抑制出来るとされる。そこで我々は、あえてμリズムを抑制する目的で手の正中神経刺激を行い、その際のてんかんスパイクの発生頻度と、単なる自発脳磁場反応を計測した際のてんかん発生頻度の違いをみることで、発作の発生特性の解明を目指す。
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Research Products
(4 results)