2010 Fiscal Year Annual Research Report
雄性配偶子形成における小胞体品質管理の役割-小胞体Jタンパク質に着目した解析
Project/Area Number |
09J05982
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 雅也 名古屋大学, 理学研究科, 特別研究員-DC2
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Keywords | 小胞体 / 細胞生物学 / 植物 / 分子シャペロン / オルガネラ / 花粉 / シロイヌナズナ / 生殖 |
Research Abstract |
分泌タンパク質の合成の場である小胞体には,新規に合成されたタンパク質の高次構造形成を監視する品質管理機構が存在する.申請者は,シロイヌナズナ小胞体分子シャベロン,AtERdj3Bは小胞体品質管理で機能しており,その遺伝子欠損株は高温条件である29℃で不稔となる.申請者は,aterdj3b株を用いて,雄性配偶子形成における小胞体品質管理の役割の解析を行ってきた.本年度は,AtERDJ3B遺伝子が,葯の最も内側の組織であるタペート細胞で発現していること,タペート細胞特異的なAtERDJ3Bの発現により,aterdj3b株の高温での不稔が部分的に抑圧されることを明らかにした.光学顕微鏡観察により,aterdj3b株ではタペート細胞の肥大化や空胞化などの異常が引き起こされていることを見いだした.これらの結果から,AtERdj3Bがタペート細胞での機能発現において重要な役割を果たしていることが示めされた.このようなaterdj3b株とよく似た表現型を示す変異体として,細胞膜に局在するleucin rich-repeat recptor like kinase, RPK2の変異体が知られている.そこで,29℃で栽培したaterdj3b株から全RNA画分を調製し,RT-PCR法で遺伝子発現の解析を行った.結果,aterdj3b株では,RPK2遺伝子自身の発現には影響はないが,RPK2の下流で機能する遺伝子の発現パターンに異常が見られたことから,29℃で栽培したaterdj3b株では,RPK2が正常に機能していないことが示唆された.つまり,AtERdj3Bが,RPK2の生合成において重要な役割を果たしていることが示唆された.
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Research Products
(1 results)