2010 Fiscal Year Annual Research Report
TOF-NIRSによる生物素材の新しい非破壊計測手法の確立
Project/Area Number |
09J06016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
倉田 洋平 名古屋大学, 生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 木材 / 非破壊計測 / 果実 / 光散乱 / シミュレーション / 近赤外 |
Research Abstract |
超高速パルスレーザ光を照射し、得られる波形形状の変化に測定する測定法-時間飛行近赤外分光法(Time-of-flight Near Infrared Spectroscopy : TOF-NIRS)-に着目し研究を行っている。この方法は、波形変化や強度変化など従来法よりも多くの情報が得られ、また、測定時間も極短(ナノ秒オーダー)であるため既存の測定方法より優れている。この装置を用いて、生物素材である果実と木材を測定対象に基礎的検討を行った。 (I)果実(グレープフルーツ)を対象 グレープフルーツ等の大径厚皮果実を対象にした非破壊計測実験を行い、糖度・酸度等を高精度に検出できることを明らかにした。この結果を分光学的観点から解明するために、糖度・酸度をいろいろ変更したモデル果汁溶液を作成して同様の計測をした。パルス波形の主成分分析から、糖成分・酸成分の変動、すなわち、光の屈折率によってもたらされる微妙な波形変動が含まれており、このことが濃度推定の鍵となることが明らかにされた。 (II)木材を対象 木材の内部情報取得のために、本法から得られるパルス波形と材の厚さとの関係に着目し光学特性(光の吸収・散乱状況)を検討した。波形形状の主成分分析により、波形形状と光の吸収・散乱状況との間に有意な関係があることが示唆された。さらに、既知の吸収係数・散乱係数を光拡散方程式に代入して得られたパルス波形(理論値)と、本計測で得られた波形(実測値)を比較した。試料厚さが14.5mm程度の場合は理論値と実測値が一致し、木材を光学的に均質な素材とみなして差し支えないことが明らかになった。さらに、新たにピコ秒オーダーの超高速近赤外パルスレーザおよびストリークカメラから構成される光学システムを導入した。木材の準微視的領域の非破壊材質評価ができる新たなツールとしての有用性を確認するため予備的検討を行った。
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Research Products
(5 results)