2009 Fiscal Year Annual Research Report
TOF-NIRSによる生物素材の新しい非破壊計測手法の確立
Project/Area Number |
09J06016
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
倉田 洋平 Nagoya University, 大学院・生命農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 非破壊計測 |
Research Abstract |
時間飛行近赤外分光法(以下、TOF-NIRS;超高速パルスレーザ光を試料に照射し、パルス波形の時間変化から内部情報を検出する測定法)を新しい非破壊計測手法として導入・確立するための実験を行っている。今年度は、果実(グレープフルーツ)および木材を対象として以下の実験を行った。 (1)果実を対象とした実験 果実の糖度および酸度の予測可能性について検討を行った。果実の赤道部にパルス光(波長:750~860nm)を照射し、裏面で透過光を検出した。参照光と透過光との相互相関関数を算出し、これを説明変数、糖度・酸度の実測値を目的変数としてPLS回帰分析を行った。波長780nmのパルス光を用いた場合、糖度を精度良く推定できた。酸度の場合は、波長860nmの時に良好な結果が得られた。現在、糖度・酸度予測メカニズムを論理的に解明するために、糖度・酸度の濃度が異なる果汁モデル溶液を作成し透過光の測定を行っている。 (II)木材を対象とした実験 本法では高出力が得られるため木材内部の情報が検出できると期待される。そこで、透過光を主成分分析することにより、木材内部における光の状況を推定し、試料内部センシングの可能性と問題点を明らかにすることを試みた。カラマツ材の試験片を準備し、柾目面にパルス光を照射してその裏面で透過光を検出した。その後、試料厚さを変更して同様の測定を行った。透過光は、試料厚さが増加するに従って明確な変化が現れた。また、主成分分析の結果から、試料厚さが11.5mmまでは、直進光が支配的であり、それ以上の厚さでは、散乱光が支配的になると推定された。さらに、木材工業で必要な強度ならびに含水率などをオンラインで高精度に予測できる実機を開発し、特許を出願した。このオンライン測定装置は、企業との連帯により実用レベルへの進展があった。
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Research Products
(8 results)