2010 Fiscal Year Annual Research Report
iPS細胞誘導法を応用した造血幹細胞の新たな誘導増幅法の確立
Project/Area Number |
09J06018
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡部 基人 東京大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 造血幹細胞 / iPS細胞 / 遺伝子導入 / リプログラミング |
Research Abstract |
申請者は前年度にマイクロアレイデータを解析し、造血幹細胞にて特異的に発現する遺伝子を30種類ほど候補遺伝子として抽出した。これらの遺伝子についてレトロウイルスベクターを作成し、フローサイトメーターを用いて分取した造血前駆細胞に遺伝子導入を行い造血幹細胞の誘導を試みた。 まず、候補遺伝子群を造血前駆細胞に多重感染させたのちマウスに移植を行った後末梢血を採取し造血前駆細胞由来の細胞が生着しているかを解析した。その結果、マーカー遺伝子導入群においては末梢血中にドナー由来の細胞を確認することができなかったのに対し、候補遺伝子導入群では末梢血中にドナー由来の細胞が確認できた。また、移植マウス骨髄中の造血幹細胞画分を解析したところ、候補遺伝子遺入群においてのみドナー由来の細胞が確認できた。この結果は、造血前駆細胞から造血幹細胞が誘導されたことを示唆するものであった。この時得られたドナー由来造血幹細胞画分の細胞をPCR法にて導入遺伝子解析したところ、4つの候補遺伝子の導入が確認された。 そこで、4つの候補遺伝子群を複数の組み合わせにて造血前駆細胞に遺伝子導入を行い、同様に移植を行った結果、特定の遺伝子の導入によって長期的な造血の維持、ドナー由来造血幹細胞の誘導を確認できた。現在は長期的な経過観察中であるが、結果の再現性は得られている。 これまでに、ES細胞以外からの造血幹細胞は成功しておらず、本知見は、分化細胞から造血幹細胞を誘導し得る方法の確立に大きな可能性を残す結果と言え、世界的に見ても非常に価値の高いと考えられる。また、研究は現在のところ大きな問題は生じておらず、順調に遂行できていると思われる。
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Research Products
(4 results)