2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁気嵐時の内部磁気圏-電離圏結合系における対流電場の発達過程
Project/Area Number |
09J06040
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西村 幸敏 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 特別研究員(SPD)
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Keywords | サブストーム / オーロラ / 磁気圏-電離圏結合 / 対流電場 / ポインティングフラックス |
Research Abstract |
オーロラサブストーム開始に至る時系列は40年以上にわたって論争が続いてきた、磁気圏-電離圏結合系における大きな未解明問題であった。本研究では米国カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のLyons教授を訪問し、NASAのTHEMIS衛星、地上全天カメラ網のデータを用い、オーロラ帯極側境界増光がsubstormの前兆現象となることを事例解析と統計解析から明らかにした。また、SuperDARNレーダーによる電離圏プラズマ流の同時観測との比較の結果、オーロラ帯極側境界増光に先行して極冠域の赤道側向きプラズマ流が増大することが確かめられた。この結果は、開いた磁力線上を局在した速いプラズマ流がopen-closed境界に向けて伝搬し、それがオーロラ帯極側境界増光およびそれに引き続く南北オーロラ(オーロラ帯の赤道向きプラズマ流)に接続することを示している。ここで問題となったのは、このような南北オーロラはsubstorm直前で無くとも様々な地磁気状態で見られる事が知られていることである。そのため、substormの開始する時としない時でどのようにプラズマシートの状態が異なるかを調べた。その結果、南北オーロラの大きさや明るさには有意な差は見られないのに対し、substormトリガー領域のアークの明るさが異なる事が見出された。つまりアークが明るい時に南北アークが到達するとsubstormが起こり、アークが暗いまたは存在しない時はsubstormが起きない。このことは、南北アークの存在以外に近地球プラズマシートの圧力の高さがsubstormトリガーの条件になっていることを示唆している。
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