2010 Fiscal Year Annual Research Report
極限環境に耐える動物クマムシに共生する細菌のゲノム進化と耐性機構の解析
Project/Area Number |
09J06061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桑原 宏和 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | クマムシ / 極限環境耐性 / アルビノ / 変異体解析 / 次世代シーケンサー / RNA-seq |
Research Abstract |
ヨコヅナクマムシの成体は茶色を呈するが、ヨコヅナクマムシ共生細菌を同定する過程で偶然、茶色の色素を欠失した白色の個体を単離しており、アルビノ変異体の解析は、極限環境耐性機構の解明という点で、本研究の成果を飛躍的に発展させることが期待される。そこで、アルビノ変異系統について次世代シーケンサーを用いRNA-seqを行いレファレンスゲノムと比較し変異遺伝子の同定を試みた。アルビノおよび野生型からRNAを抽出しcDNA化しイルミナ次世代シーケンサーを用いてそれぞれ約4Gb(110塩基PE1レーン)の配列解読を行った。得られた配列をドラフトゲノムにTopHatを用いマップした結果を基に、SNPの検出を行ったところ、野生型で3サイト、アルビノ変異体で11サイトを検出した。IGVによる精査およびサンガー法により変異体におけるゲノム配列を解析した結果、アルビノにおいて5つの遺伝子に変異が入っていることが明らかとなった。この5変異はいずれもタンパク質をコードする遺伝子に入っており、4つはミスセンス変異で、1つは同義置換であった。その中の1つはショウジョウバエにおける眼の色素合成に関わる遺伝子と相同性を示した。またアルビノと野生型で遺伝子発現量の比較解析を行ったところ、多くの遺伝子が変動しており、現在解析を行っている。これらアルビノにおいて変異、発現量に変動がみられる遺伝子が、アルビノ変異体の原因のひとつだと考えられる。また、これらの結果はクマムシの色素がショウジョウバエの眼の色素と同一であることを示唆し新たな知見を得ることが出来た。
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Research Products
(2 results)