2010 Fiscal Year Annual Research Report
最新の電子技術を用いたニホンウナギの産卵回遊経路の解明
Project/Area Number |
09J06070
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
眞鍋 諒太朗 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ニホソウナギ / 産卵回遊 / ポップアップタグ |
Research Abstract |
ニホンウナギの産卵回遊生態を解明するため、2010年12月17-18日に千葉県利根川沖の黒潮北側、黒潮内、黒潮南側の3点にて計10個体のニホンウナギに最新のポップアップタグ10本をそれぞれ装着して放流した。現在、10個体のうち3個体のタグが浮上し、最長で78日間のデータを得ることに成功している。残りの7個体については5月18日に浮上する予定である。78日間の追跡に成功した個体は、黒潮の北側で放流した個体であり、放流点から南東に830km離れた地点で浮上した。放流点と浮上点を結んだ直線的な遊泳速度と黒潮を経由した場合の遊泳速度をそれぞれ計算し、他種のウナギのポップアップタグ装着時の遊泳速度と比較した結果、浮上点まで直線的に遊泳した可能性が考えられた。これまでに種子島の沖合で放流した個体が黒潮に乗って八丈島の南まで遊泳した結果が得られているが、ニホンウナギが黒潮から離れて直線的に遊泳した結果を得たのは初めてである。東経141度付近からニホンウナギは黒潮から離れ産卵場を目指して徐々に南下を開始する可能性が考えられた。引き続き追跡を継続している残り7個体の情報が次年度に得られれば、かつて無い長期間の産卵回遊中の知見が得られることが期待される。これらの知見は現在世界的に激減しているウナギ資源の保全に必要な完全養殖技術に、天然成熟環境下の知見を提供すると考えられる。 追跡期間をさらに延長し産卵場までの追跡を実現するため、東京都市大学、有限会社リトルレオナルド、株式会社アドニクス、国立極地研究所の方々の協力の下、小型のポップアップタグの開発を進めている,今冬、開発したタグを実際にニホンウナギに装着し、タグを回収することができるかどうか実地試験を行う予定である。また、今冬にスタミナトンネルを用いた親ウナギの産卵回遊中の運動生理学的実験を行うことで運動生理学的な面からも新しい展開が期待できる。
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Research Products
(1 results)