2011 Fiscal Year Annual Research Report
最新の電子技術を用いたニホンウナギの産卵回遊経路の解明
Project/Area Number |
09J06070
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
眞鍋 諒太朗 東京大学, 大気海洋研究所, 特別研究員DC1
|
Keywords | ニホンウナギ / 産卵回遊 / ポップアップタグ / スタミナトンネル |
Research Abstract |
本年度はニホンウナギの産卵回遊生態を明らかにすることを目的として,スタミナトンネルを用いて黄ウナギと銀ウナギの遊泳能力比較実験とポップアップタグを用いたニホンウナギの産卵回遊の追跡実験を行った. 遊泳能力比較実験では,定着期と産卵回遊を行う直前のウナギの遊泳能力を比較するため,黄ウナギ8個体と銀ウナギ9個体をスタミナトンネル内で0.4-1.1m/sの速度で遊泳させ,各遊泳速度における酸素消費量と臨界遊泳速度を求めた,その結果,各遊泳速度において黄ウナギと銀ウナギの酸素消費量に有意差は認められず,臨界遊泳速度も黄ウナギ(0.77±0.14m/s)と銀ウナギ(0.79±0.15m/s)でほぼ変わらなかった.今回は銀化直前の黄ウナギを用いたため,遊泳能力に差がなかった可能性が考えられる.今後銀化直前ではない黄ウナギを用いて比較する必要性が考えられた。 ポップアップタグ実験では16本のタグを利根川産銀ウナギと三河湾産銀ウナギに装着し,それぞれ千葉県九十九里浜と愛知県恋路ヶ浜にて放流した.その結果,現在16個体のうち,13個体のタグが浮上している.浮上した13個体の中で最長の追跡期間は69日間で,最長追跡距離は1120kmのデータが得られた,さらに,その内5個体が黒潮を超えた地点でタグが浮上した.1例としてEe12は放流後,沿岸では200m未満の浅い深度を遊泳していたが,大陸棚を超えて水深が深くなると,昼間は500-800mの深度を遊泳し,夜間は0-400mの深度まで浮上する日周鉛直移動を開始した.その後,タグが浮上するまで日周鉛直移動を続けていた.今回の成果により,ニホンウナギの沿岸から黒潮を超えるまでの産卵回遊生態が明らかになった,今後浮上するタグ3本の浮上地点を加味することでニホンウナギの産卵回遊経路と回遊中の環境が明らかになってくるものと期待され,この研究分野で大きな進展となる.さらに,得られる知見はニホンウナギの完全養殖技術にも重要な示唆を与えるものと期待される.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
スタミナトンネル実験、ポップアップタグ実験ともに当初の予定通り行うことができた.ポップアップタグ実験に関しては現在も3個体追跡中であり、予定通り浮上すれば5か月にもおよぶ産卵回遊の追跡データを得られることが期待される.
|
Strategy for Future Research Activity |
ニホンウナギの産卵回遊経路を産卵場まで追跡するためには,より小型のタグの開発が望まれる.また,産卵回遊中にニホンウナギがどのようにエネルギーを節約しているのか明らかにするため、ポップアップタグから得られた日周鉛直移動のデータを基に,スタミナトンネルを用いて産卵回遊中にニホンウナギが経験する環境を再現し、酸素消費量を計測する必要性が考えられた.さらに,今後はニホンウナギが何を頼りにして産卵場までの回遊するのか行動実験を通して調査する必要性が考えられた,
|
Research Products
(4 results)