2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本沿岸に来遊するアカウミガメの個体群構造の定量的な解明
Project/Area Number |
09J06076
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 孝 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アカウミガメ / 北太平洋 / 生活史 / 年齢 / 骨年代学 / 混獲 / 性比 |
Research Abstract |
本研究はアカウミガメの北太平洋個体群の生態、生活史、資源状況の解明を目的としている。そのために、本年度は以下の項目を実施した。 1、性成熟のはじまる甲長と性成熟が完了する甲長の解明 日本で産卵するアカウミガメについて、生殖腺の性成熟状態から性成熟がはじまる甲長と性成熟が完了する甲長の範囲はそれぞれ636-750mmと738-853mmであることを明らかにした。また、これらの範囲の中で半数の個体が成熟段階を進めるのはそれぞれ660mmと821mmと求められた。 2、繁殖海域である日本沿岸への再加入サイズの解明 高知県室戸市の大型定置網で無作為に捕獲された1392個体のうち、亜成体が全体の77.7%(1081個体)を占めた。主に甲長560-750mmの幼体の後期から亜成体の個体が日本近海に再加入すると推察され、北太平洋のアカウミガメが東太平洋から日本までおよそ1-2年で太平洋を横断することが示唆された。 3、北太平洋における成長速度と性成熟年齢の解明 性成熟を完了する年齢を骨年代学的手法で推定した。成熟する年齢は二通りのprotocolを用いて推定し、protocol(1)では37歳、protocol(2)では雄が38,46,47歳(n=3)で雌が43±11歳(n=15,22-61)と推定された。同様に、日本近海に再加入する年齢はprotocol(1)で18-31歳、protocol(2)で16歳以上と推定された。 4、日本沿岸における性比の解明 剖検によりアカウミガメの性比は雌が61.0%を占め、有意に偏っていることを明らかにした。この性比は経年的、季節的、甲長による有意な違いは検出されなかった。 5、日本沿岸における生残率の解明 先に求めた甲長の分布と年齢推定の結果を基に、Catch-curve analysisにて生残率を85.7%と求めた。
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Research Products
(5 results)