2010 Fiscal Year Annual Research Report
ツルコクシジウムの分子生物学的手法による疫学および病理
Project/Area Number |
09J06084
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
本間 一 東北大学, 微生物病研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | ツル / コクシジウム / 遺伝的多様性 / 系統解析 / 絶滅危惧種 |
Research Abstract |
ツルに対してときに致死的なツルコクシジウム症は2種のツルコクシジウム原虫、Eimeria gruisとE. reichenowにより引き起こされる。E.reichenowiはその形熊が多様であることから実際には複数種から構成される可能性も指摘されているが、これまで分子生物学手法を用いたツルコクシジウム原虫の遺伝的名様性の評価は十分に行われてこなかった。本研究では、1.イギリスで飼育されているクロツルから分離されたツルコクシジウム原虫についての形態観察と遺伝子解析、2.北海道に生息するタンチョウ(絶滅危惧II類)と、鹿児島県出水地方に越冬のため飛来するナベヅル(絶滅危惧II類)とマナヅル(絶滅危惧II類)から分離されたツルコクシジウム原虫についてpolymerase chain reaction coupled capillary electrophoresis (PCR-CE)とシングルオーシストPCRの手法を用いることによる、ツルコクシジウム原虫の遺伝的多様性の評価および18S ribosomal RNA遺伝子の系統解析を行った。その結果、1.クロヅルにおいてE.reichenowi様の丸型オーシストが観祭され、遺伝子解析の結果、既報のE.reichenowiに高い相同生を示したこと、2.系統解析からE.reichenowiが複数のグループに分かれ、さらにPCR-CE解析の結果から一部のグループ間で異なる宿主選択性が示唆されたこと、が明らかとなった。1の結果より、イギリスのツルにおいて初めてE.reichenowiの存在が明らかとなった。また、2の結果より、現在E.reichenowiと分類される集団には複数種が含まれる可能性があり、E.reichenowiの再分類の必要性が示唆された。
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Research Products
(1 results)