2009 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス誘導活性ダイメリック環状ペプチド、クロプトシンの全合成研究
Project/Area Number |
09J06107
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
芝原 摂也 Nagasaki University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機化学 / 全合成 / インドールアルカロイド / 環状ペプチド / クロプトシン / アポトーシス誘導活性 / 抗腫瘍活性 |
Research Abstract |
近年、アポトーシスの抑制、誘導の制御が様々な疾患の治療薬の開発に繋がることが明らかとなり、世界中でアポトーシス抑制、誘導物質の探索が行われている。クロプトシンはこのような背景のもと、梅沢らによって放線菌の培養液から単離された化合物であり、主に脾臓、膵臓のがん細胞に対し極めて強力なアポトーシス誘導活性を示す。構造的には、ピロロインドリンカルボン酸、D-バリン、S-ピペラジン酸、R-ピペラジン酸、O-メチル-L-セリン、D-スレオニンからなる環状ヘキサペプチドの二量体である点が特徴であり、インドリン骨格の6位に塩素原子を持つ非常にまれなアルカロイドである。その特異な構造、生物活性を有する本化合物の全合成達成は大きな意義を持つと考えられる。本研究は、クロプトシンの全合成を通して、誘導体合成に有用かつ量的供給を可能にする効率的合成法を確立し、クロプトシンをリードとする医薬開発研究ならびにアポトーシスの分子機構解明に貢献することを目的としている。クロプトシンの合成としては、ビフェニルを原料とし、2つの芳香環を一挙に修飾するのが合理的であると考え合成計画を立案した。今年度は、鍵反応であるトリプトファン合成を達成した。そして、セレニドに変換し、そのmCPBA酸化により、コア部であるピロロインドリン骨格の立体選択的合成に成功した。また、D-バリン、S-ピペラジン酸R-ピペラジン酸、O-メチル-L-セリン、D-スレオニンから成るペンタペプチドの合成も達成した。今後、コア部とペンタペプチドとをカップリングさせ、クロプトシンの全合成を達成する予定である。
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Research Products
(1 results)