2010 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス誘導活性ダイメリック環状ペプチド、クロプトシンの全合成研究
Project/Area Number |
09J06107
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
芝原 摂也 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機化学 / 全合成 / インドールアルカロイド / 環状ペプチド / クロプトシン / アポトーシス誘導活性 / 抗腫瘍活性 / NW-G01 |
Research Abstract |
近年、アポトーシスの抑制、誘導の制御が様々な疾患の治療薬の開発に繋がることが明らかとなり、世界中でアポトーシス抑制、誘導物質の探索が行われている。クロプトシンはこのような背景のもと、梅沢らによって放線菌の培養液から単離された化合物であり、主に脾臓、膵臓のがん細胞に対し極めて強力なアポトーシス誘導活性を示す。構造的には、ピロロインドリンカルボン酸、D-バリン、S-ピペラジン酸、R-ピペラジン酸、O-メチル-L-セリン、D-スレオニンからなる環状ヘキサペプチドの二量体である点が特徴であり、インドリン骨格の6位に塩素原子を持つ非常にまれなアルカロイドである。その特異な構造、生物活性を有する本化合物の全合成達成は大きな意義を持つと考えられる。"本研究は、クロプトシンの全合成を通して、誘導体合成に有用かつ量的供給を可能にする効率的合成法を確立し、アポトーシスの分子機構解明に貢献することを目的としている。昨年度までにコア部であるピロロインドリンと残りのペプチド合成は完了していた。そこで、本年度はまず、コア部とペプチド鎖の縮合を試みた。しかし、種々検討を行ったが、縮合体は得られなかった。クロプトシンの特徴である2量体という構造がコア部の量的供給を困難にし、検討の効率を悪くしていた。そこで、クロプトシンと同様に6位に塩素原子を持つコア部を含む環状ヘキサペプチドで、単量体の抗生物質NW-G01を新たに合成標的とした。その全合成を達成することはクロプトシン合成経路を確立する際の参考になると考えた。まず、コア部とペプチドの縮合では、コア部の3級水酸基を保護することで、ジペプチドと高収率で縮合することを見出した。その後、残りのペプチドと縮合し、NW-G01の初の全合成を達成した。よって、本合成法を用いることでクロプトシンの全合成が達成できると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Total Synthesis of Chloptosin2010
Author(s)
Setsuya Shibahara
Organizer
2010 International Chemical Congress Pacific Basin Societies (poster)
Place of Presentation
Hawaii Convention Center (Hawaii, U.S.A.)
Year and Date
2010-12-19
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