2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
庵原 さおり The University of Tokyo, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 政治経済学 / 政府支出 / メディア報道 |
Research Abstract |
本年度は、2つの論文について作業を進めた。まず、ひとつめの論文は「公共サービスの無駄・不足と投票者の評価をめぐる政治経済学」である。この論文では、各種公共政策を同時に実施するとき、実施に必要な財源をめぐり政策同士の相互作用があるとすれば、各政策はどのように影響しあうと考えられるのかを分析した。特に、現実に、公共事業のようなサービスについては無駄な支出が生じやすい一方で、社会保障のようなサービスについては支出の不足が生じやすいことをうけ、その違いを及ぼす原因について検討した。なお、学会での発表や、論文を投稿した先の雑誌のレフェリーとの意見交換を通じて、さらに研究を発展させることができた。次に、2本目の論文では、上記の内容にさらに、マスメディアの報道も絡めた議論を進めた。具体的には、公共政策に関するメディア報道の影響力に注目するとき、報道は、その政策に関する大衆の認識の程度に影響を与えるだけでなく、その政策の政治的決定にも大きな影響を及ぼしているようである。また他方で、政策決定の側も、メディア報道に影響を与えているようである。そこでこの論文では、政策の中でも特に、公共サービスへの政府支出の規模に注目し、支出の無駄、もしくは不足に関する報道と、政策当局による支出規模の決定の相互作用について検討した。具体的には、政治経済学の分析手法を用いた理論モデルを構築した。なお、政治経済学の先行研究に、本稿で注目する内容を分析した研究はないため、本稿の分析は意義があると考える。今後、この論文についても、学会での発表等を通じて、よりよい論文に仕上げていきたい。
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Research Products
(3 results)