2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06116
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
庵原 さおり 東京大学, 大学院・経済学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 政治経済学 / 政策決定 / メディア報道 |
Research Abstract |
本年度は、主に以下示す2つの論文について作業を進めた。まず、ひとつめの論文では、以下の点を検討した。いま、ある公共政策に関するメディア報道を考えるとき、報道はその政策の決定に大きな影響を及ぼしているようである。また他方で、その政策決定もまたメディア報道に影響を与えていると思われる。そこでこの論文では、政策の中でも特に、公共サービスへの政府支出の規模に注目し、支出の無駄もしくは不足に関する報道と、政策当局による支出規模の決定の相互作用を検討した。なお、政治経済学の先行研究に、メディア報道と政策決定の関係性に注目した研究はまだ少ない。しかし、少子高齢化や国債発行額の増加が進む日本においては、今後特に、どの政策にどの程度の財源を回していくかはより重要な問題となるだろう。よって、この論文は、今後の政策決定を考察するうえでも意義があると考える。 次に、2本目の論文では、以下の点を考察した。いま、ある公共政策に関する各新聞社の論調(もしくは報道姿勢)に注目するとき、各社の論調には程度の差はあれ違いが観察できる。そこでこの論文では、複数のマスメディア(特に新聞社)の間で論調に差が生じる理由、および各マスメディアの論調の不一致が政策決定に及ぼす影響について考察した。なお、先行研究に、各新聞社の報道立場の違いが政党の政策位置の決定に与える影響を考察したものは少ない。よって、特に各人の政党への評価方法について、先行研究とは異なる方法を考え分析した点が、この論文の主要な意義のひとつと考える。 なお、本年度は、学会や研究会等でこれらの論文について発表し、研究を発展させることができた。そして、最終的にはこれら2つの論文を含む博士論文を発表した。今後もこれまでの研究成果を踏まえ、メディア報道と政策決定の関係性について、政治経済学的な分析手法を用いた研究を進めたい。
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Research Products
(4 results)