2010 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸カルシウムの直接固化による超低環境負荷セメント型機能材料の開発
Project/Area Number |
09J06122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今泉 晴貴 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カルサイト / バテライト / 水熱 / 機能材料 |
Research Abstract |
炭酸カルシウムの反応性が低いため,炭酸カルシウムから直接材料を合成する試みはほとんど行われていない.炭酸カルシウムの反応性を高めるために,反応溶媒として沸点以上の高温高圧水の利用が考えられる.本研究では,持続可能社会に向けて地球上でありふれた資源である炭酸カルシウムから,環境低負荷なプロセスである水熱処理を利用した新しい材料合成法の開発を目的とした. 沸点以上の飽和水蒸気圧下での水熱処理を利用することで,炭酸カルシウムから多孔質材料を中心とした材料が合成できることを明らかにした.沸点以上の飽和水蒸気圧下での水熱処理により,炭酸カルシウムを焼成することなくガラスやシリカゲルなどのアモルファスシリカ原料と反応させた材料合成ができた.常温・常圧で最も安定な炭酸カルシウムの多形であるカルサイトを用いた場合,沸点以上の飽和水蒸気圧下での水熱処理により,カルサイト表面でアモルファスシリカとの反応が進行することを明らかにした.また,カルサイト表面での反応を利用することで,高シリカゼオライトSSZ-24とケイ酸カルシウム水和物K-phaseの複合体が合成できた.カルサイト表面が反応場となり,SSZ-24とK-phaseが複合体を形成している可能性が考えられる. 常温・常圧で不安定なバテライトを用いた場合,沸点以上の飽和水蒸気圧下での水熱処理により,バテライト表面とシリカゲルを反応させることで,カルサイトの生成を抑制してZ-phaseを強度発現材としたバテライト多孔体が合成できた.これらの結果は,水熱プロセスを用いた炭酸カルシウムからの材料合成法の新たな指針になると考えられる.
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Research Products
(3 results)