2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭酸カルシウムの直接固化による超低環境負荷セメント型機能材料の開発
Project/Area Number |
09J06122
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今泉 晴貴 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 炭酸カルシウム / 固化 / 水熱 / 廃ガラス / リサイクル |
Research Abstract |
本研究では、我が国で自給可能な数少ない無機材料である石灰石(炭酸カルシウム)粉体を高温焼成することなく、水熱プロセスを利用して直接固化し、さらに常温での固化メカニズムを追及し、超低環境負荷な新規セメント型材料の開発を行うことを目的とした。 本年度は、炭酸カルシウムを固化するための水熱プロセスについて検討した。これを実現するためにまず、水熱条件下で炭酸カルシウム間の結合を促進させるために添加剤の選定を行った。特に、水熱下で反応性の高いガラスに注目し、廃ガラスのリサイクルを考えた炭酸カルシウムと廃ガラスの水熱固化を検討した。炭酸カルシウムと琉球ガラス廃材とのを混合・成形し200℃の飽和水蒸気中で水熱養生することにより約15MPaの曲げ強度を示す固化体が得られることを明らかにした。走査型電子顕微鏡より炭酸カルシウム粒子が反応前と同じように観察されることから、ガラスのシリカ成分及びそれに含まれるアルカリ成分が固化反応に関与していると考えられる。水銀圧入法により測定した細孔径分布の変化から、水熱処理による析出物により粒子間隙由来のマクロ細孔が減少しており、強度発現は成形体の粒子間隙を充填することにより起こると考えられる。 ガラス廃材として板ガラスを用いて、炭酸カルシウムとの水熱固化を検討した結果、約9MPaの曲げ強度を示す固化体が得られた。マクロ細孔の充填により強度が発現するが、強度発現はマクロ細孔の充填だけでなく、析出物の形態に影響することが明らかとなった。 水熱下での炭酸カルシウムとガラスの固化体作製において、炭酸カルシウムが反応に関与しているかを熱重量分析により検討した。600-800℃の脱炭酸から炭酸カルシウム反応率を求めたところ、数%程度が反応に関与していることがわかった。水熱下での炭酸カルシウムの反応機構を明らかにすることは、低環境負荷プロセスによる炭酸カルシウム固化に関する研究の一助となると考えられる。
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Research Products
(7 results)