2009 Fiscal Year Annual Research Report
16、17世紀のオスマン朝における物資流通とイスタンブル
Project/Area Number |
09J06140
|
Research Institution | The Toyo Bunko |
Principal Investigator |
澤井 一彰 The Toyo Bunko, 研究部, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 歴史学 / 東洋史 / 地中海世界 / 社会経済史 / 中東 / イスタンブル / オスマン朝史 / トルコ:イタリア:ギリシア:エジプト:ブルガリア |
Research Abstract |
平成21年度は、その多くを博士論文の完成に費やすこととなった。当初は夏前の提出を予定していたが、留学中に持ち帰った史料の読解と分析に予想以上の時間が必要となり、結局2009年11月になってようやく東京大学人文社会系研究科に提出することができた。その後、2010年2月に口頭試問を通過し、同4月に博士(文学)の学位を授与された。 上記のような理由によって、今年度は雑誌論文を発表することができなかった。一方、学会発表については、4月5日に、学習院大学の亀長洋子准教授、同志社大学の堀井優准教授を中心にした若手研究者による拡大地中海史研究会において、「「地中海世界史」史料としてのオスマン史料-枢機勅令簿の分析を通じて-」と題した発表を行った。これは、博士論文の主要史料である枢機勅令簿を事例として、オスマン朝において作成されたオスマン史料が、同時代の地中海史を考える上で非常に有益な史料群を形成しているという事実を西洋史研究者と共有するために行ったものである。なお現在、この報告をひとつのたたき台として、東洋史と西洋史とを問わず、地中海にかかわる研究を行う若手研究者による共同研究の企画が進行中である。また、2010年2月14日には、東京大学東洋文化研究所の羽田正教授が研究代表者を務める基盤研究(S)「ユーラシアの近代と新しい世界史叙述」の研究会において、博士論文と同様の「16世紀後半の「東地中海世界」における穀物流通とオスマン社会-イスタンブルへの穀物供給を中心に-」という題目で報告を行った。 以上が平成21年度の研究実績の概要である。
|