2010 Fiscal Year Annual Research Report
クロマチン制御機構の解析によるヘルパーT細胞分化メカニズムの解明
Project/Area Number |
09J06159
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
関谷 高史 慶應義塾大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | TGFβ / Foxp3 / Th17 / 抑制性T細胞 / 核内受容体 / クロマチン制御 / プロモーター / 免疫寛容 |
Research Abstract |
前年度の研究で核内オーファン受容体Nr4a2が制御性T細胞(Treg)の誘導に機能することを見出し、本年度は引き続きNr4a2によるTreg誘導メカニズムの解析、およびNr4a2によるTreg制御の生理学的意義、病態生理学的意義の解明を試みた。まずNr4a2をCD4^+T細胞に異所的発現させ、Nr4a2のT細胞分化に対する作用を解析した。実験の結果、Nr4a2はTregのマスター転写因子Foxp3の発現を強く誘導する一方、炎症性ヘルパーT細胞Th1,Th17の分化を著明に抑制することを見出した。次にNr4a2欠損マウス個体、およびマウスより取得したT細胞を用いて解析を行った結果、Nr4a2を欠損したT細胞はTregへの分化が著明に減弱する一方、Th1への分化が顕著に亢進することを見出した。さらにT細胞特異的Nr4a2欠損マウスでは炎症性大腸炎のモデル疾患であるDSS誘導性腸炎の著明な増悪を示した。これらの結果はNr4a2がT細胞分化において重要な役割を担っており、炎症性疾患の制御における重要な因子であることを示している。さらに、Nr4a2欠損Tregは分化状態が不安定であるうえ抑制機能に重要なCD25やTGF-βの発現が有意に減少しており、その結果抑制機能が著明に低下していることをin vitro, in vivoの実験で明らかとした。以上本年度の研究により、Nr4a2はT細胞分化およびTregの分化状態の維持、機能発現において重要な役割を担っており、炎症性疾患の発症の制御に関与している因子であることを解明した。本研究成果は2010年8月に開催された国際免疫学会で口頭発表を行った他、Nature Communication誌で発表された。
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Research Products
(4 results)