2009 Fiscal Year Annual Research Report
大型家畜動物の精巣由来生殖幹細胞の分化制御と多能性幹細胞株の樹立
Project/Area Number |
09J06181
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 摩耶子 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 精巣 / Gonocyte / 精原幹細胞 / 多能性幹細胞 / 体外培養 / ウシ / ブタ |
Research Abstract |
本研究は、大型家畜動物の精巣内生殖幹細胞に着目し、生殖幹細胞の長期培養系および多能性幹細胞株の樹立を目指している。本年度は、まず新生仔から成体までのウシ精巣内の生殖細胞について調べ、幼若期に精巣内に存在する生殖幹細胞Gonocyteと精原幹細胞にはタンパクの発現パターンに違いがあることがわかった。このそれぞれの生殖細胞について体外培養を行った結果、成体精巣由来の精原幹細胞は約一週間の体外培養が可能であることを示した。さらに、幼若期精巣由来のGonocyteは体外培養後もその性質を維持したまま6回継代でき、約1.5ヶ月の長期培養に成功した。この研究成果は、ウシの生体内での生殖細胞の細胞生物学的性質を検討するとともに、異なった分化段階にある生殖細胞を用いて体外培養を行い、幼若期精巣由来のGonocyteは成体由来精原幹細胞よりも長期培養が容易である可能性が示唆された。この結果は、ウシ精巣内生殖細胞の発生・分化過程を知る上で、さらに生殖幹細胞の長期体外培養系を確立する上で有用な情報になり得ると考えられる。一方、ブタ幼若期精巣由来のGonocyteは、体外培養すると培養初期(培養開始後1週間)で遺伝子発現が胚性幹細胞(ES細胞)様に変化し、これらの細胞を免疫不全マウスへの移植することによりテラトーマを形成することが示された。このことから、ブタGonocyteは短期培養で多能性の性質を獲得することが示唆された。
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Research Products
(5 results)