2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物病原細菌ファイトプラズマによる病徴誘導シグナルネットワークの解明
Project/Area Number |
09J06195
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
星 朱香 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ファイトプラズマ / 病原性因子 / 形態異常 / オーキシン |
Research Abstract |
[本研究の目的]本研究は、植物に形態異常などの特徴的な病気を引き起こすファイトプラズマの病原性因子を網羅的に同定するとともに、それら病原性因子の機能解析及び、病徴発現に至るシグナルネットワークの全容解明を目的とする。一連の解析結果を統合することで、病原性因子がどのように宿主の遺伝子発現に影響を与え、病徴を引き起こすのかを明らかにし、ファイトプラズマ病の防除法確立及び高付加価値表現形質を誘導する新規育種素材等の応用研究に向けた基盤技術の構築を目指す。 [本年度成果]ファイトプラズマは細胞内に寄生する細菌であるため、菌体外に放出される分泌タンパク質は植物細胞内で機能すると考えられている。そこで、私は「ファイトプラズマの分泌タンパク質が形態異常を誘導する病原性因子として機能している」との仮説を立て、病原性因子をスクリーニングするために、ウイルスベクターを利用した発現系による病原性因子のスクリーニング方法を確立し、病原性因子の同定を試みた。スクリーニングの結果、ファイトプラズマの症状の一つである天狗巣症状(枝が異常に増加する症状)を誘導する病原性因子『TENGU』の同定に成功した。次に、TENGUの影響で発現が変化する遺伝子群を特定するために、TENGUを恒常的に発現するトランスジェニック植物を作製し、それを用いてマイクロアレイ解析を行った結果、TENGUは植物の植物ホルモンであるオーキシンの作用を抑える機能をもつことが明らかとなった。 以上より、ファイトプラズマはTENGUを分泌することで植物の形態形成を制御し,「天狗巣症状」を誘導するという新規の形態異常誘導メカニズムを明らかにすることに成功し、これらの結果を米国科学アカデミー紀要に発表した。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] A unique virulence factor for proliferation and dwarfism in plants identified from a phytopathogenic bacterium.2009
Author(s)
Hoshi, A., Oshima, K., Kakizawa, S., Ishii, Y., Ozeki, J., Hashimoto, M., Komatsu, K., Kagiwada, S., Yamaji, Y., Namba, S.
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Journal Title
Proceedings of the National Academy of Sciences. 106
Pages: 6416-6421
Peer Reviewed
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