2009 Fiscal Year Annual Research Report
自然免疫制御による呼吸器疾患の予防及びワクチン開発
Project/Area Number |
09J06197
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小山 正平 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 自然免疫 / 形質細胞様樹状細胞 / I型インターフェロン / インフルエンザワクチン / ワクチンアジュバント / 喘息 / マクロライド系抗菌薬 |
Research Abstract |
本年度は、I.現行のインフルエンザワクチンの効果発現のメカニズムの解明及び効果改善のためのアジュバント開発、II.マウス喘息モデルの作成と自然免疫応答という二つのテーマを中心に研究を行った。 Iでは、インフルエンザワクチン3種類(生ワクチン、不活化全粒子ワクチン、不活化スプリットワクチン)の作用機序について、各種自然免疫シグナル欠損マウス及びヒト末梢血を用いて比較検討を行った。その結果、形質細胞様樹状細胞(pDC)の活性化及びそれに伴うI型インターフェロンの産生が、naiveの宿主に防御免疫を誘導するために必須であること、pDCを活性化する新規のアジュバントが現行のワクチンの効果改善に有効であることを示した。一方、繰り返しのインフルエンザ暴露を伴う成人では、この経路の活性化は必須ではなく、メモリーT細胞の活性化が感染防御に重要な役割をしていることが分かった。本研究により、不活化スプリットワクチンの効果が小児で不十分である理由や、豚型インフルエンザではスプリットワクチンでも一回投与で有効であった理由などが解明された。これらの結果は、今後のインフルエンザワクチン及びアジュバント開発にとって重要な科学的根拠になりうると考えられる。IIでは、マウスにOVAアルブミンおよびハウスダストを投与して喘息モデルを作成した。さらに、呼吸器疾患全般において治療効果が期待されているマクロライド系抗菌薬の喘息モデルにおける自然免疫応答に対する作用に関して検討した。その結果、マクロライド系抗菌薬の投与により、肺胞洗浄液中のIL-4の減少が確認された。まだ検討を開始して間もないが、今後、喘息に合併したインフルエンザウイルス感染が重症化する理由や、その様な病態にマクロライド系抗菌薬が有効かなどについてさらに検討していきたい。(742字)
|
Research Products
(4 results)
-
[Journal Article] Plasmacytoid dendritic cells delineate influenza vaccine immunog enicity2010
Author(s)
Shohei Koyama, Taiki Aoshi, Takeshi Tanimoto, Yutaro Kumagai, Kouji Kobiyama, Takahiro Tougan, Kazuo Sakurai, Cevayir Coban, Toshihiro Horii, Shizuo Akir a, Ken J.Ishii
-
Journal Title
Science Translational Medicine 25
Pages: 25ra24
Peer Reviewed
-
-
-