2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06201
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
森本 光太郎 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 偏微分方程式 / 関数解析 / Gierer-Meinhardt系 / サチュレーション効果 / 点凝集塊 |
Research Abstract |
Gierer-Meinhardt系は二種類の生化学物質(活性因子と抑制因子)が異なる拡散係数を持つとき、それらが互いに反応しつつ拡散するときに非一様なパターンが現れる連立の反応拡散方程式である。この反応拡散系において、抑制因子の拡散係数を形式的に無限大としたshadow系と呼ばれる方程式が得られる。元のGierer-Meinhardt系が二つの反応拡散方程式の連立として表されていたのに対して、shadow系は一つの反応拡散方程式と積分を用いた代数方程式で表現される。このため、元のGierer-Meinhardt系に対してshadow系の方が、解を厳密に構成する上では比較的扱いやすいモデルとなっている。特に、私は飽和効果の付いたモデルに興味を持ち研究を行ってきた。飽和効果のある場合、双安定的な構造を方程式が持つため、一定の飽和効果の下では内部遷移解と呼ばれる定常解が存在することが知られている。これに対し、これまでに私が行ってきた研究は、weak saturationという弱い飽和効果を課したshadow系及び元のGierer-Meinhardt系に対するピーク定常解の存在に関するものであった。しかし、weak saturationよりも若干強い飽和効果(semi-weak saturationと呼ぶ)の下では、どのような形状の解が現れるのかは厳密には証明されていなかった。そこで、空間一次元の場合のshadow系に対し、semi-weak saturationの下で解の構成を行い、内部遷移解とピーク解の中間的形状を持つ定常解が存在することを示した。semi-weak saturationの下での解の構成はこれまでになされておらず、本研究がsemi-weak saturationの場合のshadow系の解の形状を明確に提示する先がけとなっていると思われる。
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Research Products
(8 results)