2010 Fiscal Year Annual Research Report
糸状菌における poly(A) 付加シグナルと mRNA 品質管理機構の解明
Project/Area Number |
09J06211
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 瑞己 東北大学, 大学院・農学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | mRNA分解 / 麹菌 / nonstop mRNA分解 / Ski複合体 / マルトースパーミアーゼ / Hbs1 / mRNA切断 |
Research Abstract |
麹菌におけるmRNA分解機構を解析するため、5'側からmRNAを分解するXrn1、および3'側からのmRNA分解に関わるSki複合体構成因子(Ski2, Ski3)の遺伝子破壊株をそれぞれ作成した。作成した遺伝子破壊株の生育を調べた結果、Ski複合体欠損株はマルトースやデンプンを炭素源とした培地で特異的に著しく生育が抑制された。麹菌はデンプンやマルトース存在条件下で多量のアミラーゼ系酵素を分泌することから、Ski複合体欠損株におけるアミラーゼやマルトースパーミアーゼ(malP)の発現をノーザン解析により調べた。その結果、malPの5'側領域をプローブとして用いた場合に全長malP mRNAに加え低分子のmalP転写産物がSki複合体欠損株において特異的に検出された。Circularized RT-PCR法によりmalP mRNA前半断片の解析を行った結果、malP mRNAはコーディング領域内に存在する巨大なstem-loop構造のstem領域において切断されていることが明らかとなった。以上の結果から、Ski複合体欠損株では切断によって生じたmalP mRNA前半断片の分解が抑制され、蓄積していることが示された。 切断によって生じたmalP mRNA前半断片には終止コドンが存在しないことから、mRNA品質管理機構の一つであるnonstop mRNA分解機構によって分解されることが予想された。出芽酵母においては、Ski7によってnonstop mRNAが認識されるモデルが提唱されている。興味深いことに、出芽酵母以外の真核生物においてはSki7オーソログが存在しないことから、他の因子によってnonstop mRNAが認識されると予想される。Ski7と類似したドメインを持つH Hbs1オーソログ(HbsA)の遺伝子破壊株を作成し、malP mRNAの発現をノーザン解析により調べた。その結果、hbsA破壊株においてもmalP mRNA前半断片が検出され、転写阻害剤を用いた解析により、この前半断片がhbsA破壊株において非常に安定であることが明らかとなった。このことから、出芽酵母以外の真核生物においてはHbs1オーソログがnonstop mRNA認識因子として機能する可能性が初めて示された。
|
Research Products
(5 results)