2010 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロファイナンスにおける社会関係資本の役割-インド・ケーララ州を事例に-
Project/Area Number |
09J06213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
後藤 潤 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科., 特別研究員(DC1)
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Keywords | マイクロファイナンス / グループレンディング / 信用制約 / 社会関係資本 / インド |
Research Abstract |
本研究の目的は、近年途上国で広く普及するマイクロファイナンス(以下MF)を対象に、連帯保証制度を採用したグループレンディング(以下GL)と社会関係資本(Social capital;以下SC)との間にある相互規定性を明らかにすることである。マクロファイナンスの分野で特に重要となりうるSCはsocial pressure,trust,trustworthiness,inequality aversionなどであるが、これらを特定するための経済実験は、そのデザイン作成段階から実施に至るまで、理論的知識とともに実験技術(被験者の抽出、選好統制、外的要因のコントロールなど)が必要とされる。そのため筆者は昨年度から東京大学大学院経済学研究科の澤田康幸准教授が実施する社会関係資本に関する研究プロジェクトに参加し、社会的選好を計測するための実験的ノウハウの習得に努めた。具体的には、2010年1月、2010年7月、2011年1月の3回にわたりフィリピンの中部ルソン島で、public goods game,dictator game,risk game,ultimatum gameと呼ばれる経済実験を行った。2011年1月には対象地域であるインド・ケーララ州を訪問し、経済実験を行うための調査員の手配、MF機関と協力して実験実施マニュアルの作成などを行った。フィリピンでのノウハウを最大限に生かし、2011年5月には対象地域で経済実験を実施する予定である。さらに、次回の調査では社会的選好に関する実験データを集めることに加えて、2009年に筆者が実施した家計調査を再度行い、2時点のパネルデータを構築する予定である。このようなパネルデータは、時系列的に変化しない個人の固定効果をコントロールすることで、内生性バイアスを除去した計量分析を行うことが可能となる。
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Research Products
(3 results)