2010 Fiscal Year Annual Research Report
外国人労働者受入問題とグローバルな分配的正義――移民政策の法哲学――
Project/Area Number |
09J06222
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
浦山 聖子 専修大学, 法学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | グローバルな分配的正義 / 外国人労働者 / 移民政策 |
Research Abstract |
本年度も、昨年度に引き続き、英米圏の政治哲学におけるグローバルな分配的正義論および移民の正義論について主に研究を行った。昨年度末に博士号を取得し、今年度は、来年度に予定している博士論文の紀要への掲載へ向けて、博士論文で使用した研究書・資料の再読・再確認やアップデート、一部の業績の公開などが中心的な作業になった。また、グローバルな分配的正義論および移民の正義論の含意について考察するため、名古屋大学主催のサマースクール「アジアの法と社会2010」や外国人集住都市会議など、開発支援や外国人受け入れをめぐる実証的な研究を目的とする諸研究会を傍聴するよう努めた。 主な研究成果としては、多文化主義の権利観について、とりわけ多文化主義が主張する集団的権利の構想は西欧市民革命以来の個人主義的な権利観を掘り崩すという批判に対し、国際法学者であると同時に法哲学者でもあるアレン・ブキャナンの理論に倣い、多文化主義と個人主義的権利論との整合性を、多文化主義が認める権利を権利主体が個人であるものに限定することによってではなく、多文化主義の主張の基底に正当化論における個人主義を据えることによって、担保することを提案する旨の論考を出版した。(「民族文化的少数者の権利」)また、移民の正義論の第一人者であるジョゼフ・カレンズの開放的国境政策論について紹介し、移民の正義論におけるリベラリズムとナショナリズムの関係について考察した論文を公刊した。(「移民の正義論」)
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Research Products
(6 results)