2009 Fiscal Year Annual Research Report
ライマンアルファ輝線で探る宇宙の銀河・構造形成史の理論・観測的研究
Project/Area Number |
09J06224
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
小林 正和 National Astronomical Observatory of Japan, 光赤外研究部, 特別研究員PD
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Keywords | ライマンアルファ輝線放射天体 / 階層的構造形成 / 銀河形成の準解析的モデル / ガンマ線バースト / ガンマ線背景放射 / 種族III星の星形成効率 |
Research Abstract |
これまで開発してきたライマンアルファ輝線放射天体(LAE)に関する理論モデルと、既存の赤方偏移z=3-7LAEの観測的統計量との詳細な比較を行った。私のLAE理論モデルは、これら観測量を全て再現できることが確認できた。特に、ライマンアルファ等価幅(EW)が240Åを越えるLAEの割合や、静止系紫外線連続光光度とEWの関係も自然に再現された。これらの結果を査読付論文雑誌ApJ誌に投稿し、受理・出版された。LAEは最初の発見から既に十余年が経過しているが、未だその物理的性質(星質量や年齢、金属量など)は明らかになっていない。既存の観測量を全て再現できた私のモデルは、LAEの物理的性質に対して信頼のおける予言を与えることができると思われる。この結果を論文にまとめつつある。 同じ理論モデルを用いて、z=7LAEの新しい観測データとの比較を行い、理化学研究所の太田一陽氏らと共にApJ誌に論文を投稿した。また、日本が中心となって構想が練られている次世代宇宙望遠鏡のWISHやSPICAで、z>7LAEやhigh-zバルマーアルファ輝線放射天体がどれだけ検出されうるかを見積もり、研究会などで結果を発表した。 私の理論モデルは、階層的構造形成の枠組みで構築された、銀河形成の準解析的モデルがベースとなっている。そのため、比較的容易な拡張によって銀河に関連する様々な観測量との比較や予言が可能である。その利点を生かし、ガンマ線バースト(GRB)母銀河の性質から探るGRB先駆天体の性質、ガンマ線背景放射に対する星形成銀河からの寄与の評価、WMAP衛星の観測結果から探る種族III星の星形成効率評価、などといった研究も、私の理論モデルを用いて共同研究者らとともに進めてきた。これらの結果はApJ誌に論文を投稿する予定である。
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Research Products
(3 results)