2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ摩擦特性解明のための駆動機構を付与した二軸独立型摩擦力顕微鏡マイクロプローブ
Project/Area Number |
09J06230
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
雨川 洋章 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 原子間力顕微鏡 / マイクロマシニング / トライボロジー / 摩擦力顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究は,マイクロ・ナノ領域のトライボロジー現象の解明および局所的な特性の把握に有効な手段として二軸独立型プローブを用いた摩擦力顕微法を確立するために,動的な測定と探針位置の制御機能を付与することを目的としている.本プローブに,静電気力により駆動する機構を付加することで実現を図る.以下の事項を達成した. 1.前年度に引き続きプローブと静電気力を印加するための駆動機構の作製法を検討した.結晶異方性エッチングで作製したプローブの凹構造と駆動部の凸構造をはめあわせ接着固定することで,約2μmのすき間を介して電極を対向させることに成功した. 2.市販のAFM装置に組み込んで,電極間に印加した正弦波交流電圧に対応して,プローブが正弦波的に水平変形することを確認した.さらに,両方の電極に同時に正弦波電圧を同周波数・逆位相で印加することで,片方の電極に電圧を印加したときと比較して大きな振幅を得ることに成功した. 3.1.9nm厚さの潤滑剤分子を10μm間隔の縞状に分布させた試料上を,正弦的に水平振動させたプローブを走査し,分布に対応した振幅・位相遅れ応答の検出に成功した.さらに,得られた振幅・位相遅れから潤滑膜上での減衰係数を定量化した. また,計画外の成果として,摩擦力検出系の高精度化を行った.すなわち,本プローブでは水平方向の変形量をプローブ先端部に作製した微小溝に光てこ用レーザーを集光し,溝の像を位置検出器に投影し,像の変位を検出して得ていたが,信号量と変形量の較正の精度が低く,開発中のプローブの性能向上に支障が出ることが判明した.そこで,ピエゾアクチュエータでプローブを変形させるために段差構造を用いることで,プローブの変形量を段差構造による押し込み量として信号量との較正を行う方法を考案し,課題を解決した.
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Research Products
(5 results)