2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06294
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
古川 正紘 The University of Electro-Communications, 大学院・電気通信学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 触覚 / 皮膚有毛部 / 体毛 |
Research Abstract |
本年度は非装着型全身触覚提示インタフェースに関する研究の初年度として,人の触覚に関する知覚特性の解明に注力した.特に,ヒトの体毛を介した触覚刺激に対する知覚特性を明らかにした. 従来の触覚研究が皮膚への直接刺激を用いるものであったのに対し,ヒトの皮膚に存在する体毛を介した触覚刺激を試みた例は少ない.特にヒトの体毛は有毛部と呼ばれる毛根が存在する皮膚上に分布しており,指先などの無毛部および粘膜部を除き体表面の大部分がこの有毛部に分類される.このヒトの体毛は触覚受容器として機能していることが知られており,全身を触覚提示部位として利用しようとする場合,皮膚だけでなく体毛をも利用することにより繊細な情報を伝達可能であると期待できる.しかしながら,ヒトの体毛が有する知覚特性について明らかにされてこなかった.そこで本研究では,体毛を介した触覚刺激に対するヒトの知覚特性を明らかにすることを目的とした. そこでまず体毛を直接把持する機構を持った刺激装置を開発し,機械的刺激を体毛に直接提示した.体毛を介した刺激に対し周波数8条件下における絶対検出閾値を心理物理実験により計測し,絶対検出閾値曲線を求めた.その結果,250Hz付近に極小値をもつ絶対検出閾値曲線が観測された.即順応型受容器である毛包受容器の活動が主に観測されたものと考えるが,一方でパチニ小体の活動も重畳された結果を示唆するものである,という結論に至った.従来の知見では,断面積が小さい刺激子を介した機械的刺激に対しては,パチニ小体は応答しないと考えられている.しかしながら,本結果はさらに断面積が小さい体毛を介した刺激を用いたものである.ヒトの独立した体毛を介した機械刺激に対する知覚特性は本報告以外に報告されていないため,本年度の結果に基づき今後も追求されるべき課題であると考える.
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Research Products
(2 results)